Kaiki

キリング・イヴ/Killing Eve シーズン3のKaikiのレビュー・感想・評価

3.9
シーズン1,2,3ぶっ続けで鑑賞。

イギリスの諜報捜査官Eveとヨーロッパ中で暗躍する狂気的かつ美的なサイコパスアサシンVillanelleの攻防を軸に2人の関係性が意外な方向に拗れていくストーリー。

終始一貫して魅せられるのはなんと言ってもJodie Comer演じるVillanelleのキャラクターだと思う。サイコパスならではの表情と表現、ユーモア、シュールさ、そして暗殺。極端に酷いけれどどこか美徳とユーモア(と言っていいかは疑念の余地がある)が感じられて、いつの間にか「今回はどう殺すんだろう」と暗殺シーンにわくわくしてる自分に思わずはっとさせられる。
場面毎にはハイブランドを美しく身に纏い、幼い子供含む誰彼に対しても対抗心剥き出しな幼稚的な態度で笑わせつつ、それとは裏腹に、多言語と英語の方言も細かく流暢に使ってスパイする姿はめちゃくちゃかっこいい。Jodie本人は北イングランドLiverpool出身で元々は少し癖のあるアクセントを持っていて、YouTubeとかでインタビューとかの動画をみると全然違うアクセント!ってびっくりさせられた。これは世界的にも評価されているみたい。

Villanelleが圧倒的ではあるがEveを筆頭に他のキャラもみんな闇を抱えたようなシリアスな部分と皮肉混じりの馬鹿らしさを孕んだ絡み方でいちいちおもしろい。


※ここからネタバレ含みます。
そしてこの物語をただのサスペンスとして収束させない要素はメイン2人の関係性。Eveの正義感から成る事件を追う深い執着心とバイセクシャルのVillanelleのサイコパスな魅力が相まってロマンスにも発展するがあくまでも追う追われる関係性でもあるので、異常に複雑でシュール。


一般的にドラマシリーズは物語が進んで謎が明らかになっていくにつれて、展開が遅くなってだらけてくる場合がある。このシリーズも少なからずその流れを含んでいく。
Villanelleが次々と人を殺しまくってるにも関わらず、S3あたりからからはもうそれを止めようとする存在がもはや居なくて、善悪の概念とか、MI6とTwelveの関係性とか、誰がスパイで陰謀かとか正直どうでもよくなってくる。
しかし、そんなあたりで描かれるのが、Villanelleが死んだはずのOksanaとして故郷を訪れるという、本軸から少し離れたスピンオフ的なエピソード。原点に還ることで自分がやりたい事や何がしたいのか、物事の観点がここで変わり、物語に大きな変化を加える。ここにきて彼女の新しい表情が見られて更に好きになる。

S4も決まってるみたいだけど、期待したいけどしきれない微妙なところではある。ただただVillanelleの活躍は観たい。
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