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コール・ザ・ミッドワイフ ~ロンドン助産婦物語 シーズン5のLongsleeperのレビュー・感想・評価

4.5
今までにもまして面白かったシーズン。
フィリスみたいなベテラン職業人になりたいですね……仕事に真摯だけど、すごく人間味のある過去や経験も持っていて、そこから滲み出る懐の深さが同僚や妊産婦たちを深く支えていく。
シスター・ジュリエンヌやエヴァンジェリーナももちろん偉大なベテランだけど、やはり尼僧なので人間的弱さは克服しきっている側面がある。
彼女たちが経験したことのない弱さを、いろんな人と分かち合うことができる強さを持った人という感じ。

生まれや育ちを克服して親にならなければならない状況に足がすくみ、怖くてたまらなくなってしまった彼女の回が特に印象的だった。
自分が知らないものを、いったいどうしたら子どもに伝えられるのか、という葛藤がごもっともすぎる。
フィリスがHard work makes a mother. と言ったのが本当に腑に落ちた。
出産の瞬間に天啓みたいに母になることを悟る人もいるにはいるが、みんながそうではない、というセリフが沁みる。。。
だからこそ、産んだらそれでOKではなく、一人の人間と向き合う覚悟が要るんだと思う。
でも、「家族が増えるということは、よく寝る可愛い赤ちゃんをニコニコあやすだけのことではない」と理解している彼女だからこそ、幸せになってほしいと思ってしまう。

トリクシーと若いカップルの話も好きだった。
どんな過程でも結末でも、二人が本心から決めたならきっと大丈夫と思わせてくれる回だった。
まだ少年少女と大人の境目みたいな年齢だけど、本当の意味でお互いを思いやることを知っている感じがして頼もしい。
それぞれの父子家庭、母子家庭で親御さんが丁寧に二人と向き合った結果。

先生の回は辛かった。
男性側がほんとに何の代償も払わない一方で、こんな目に遭う人が沢山いたのが60年前なのか。
でもアメリカでは、当時の英国が進んだのと逆の方向に進んでる州もあるわけで。

クリスマススペシャルの南アフリカ編も良かった。
アパルトヘイトに関する映画も観たことはあるけど、イギリス人が現地黒人コミュニティに分け入って交流しながら、「なんで同じ人間が生きてるだけでこんなに違う扱いをされるの?」と感じるのを追体験できるシナリオになっていた。
ポリオワクチンのくだりで泣いてしまった。。。
バーバラ本当に良い子。

フィリス大活躍のかたわら、シンシアとシスター・モニカ・ジョーンの不思議な絆や、エヴァンジェリーナの存在の大きさを実感するシーズンでもあった。
濃かった……
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