七沖

ウルトラマンブレーザーの七沖のレビュー・感想・評価

ウルトラマンブレーザー(2023年製作のドラマ)
4.3
シリーズ初の妻帯者が変身するウルトラマン。
この設定が気になって、久しぶりにウルトラシリーズを観た。

これはいい!!
ウルトラマンで育った大人にこそ刺さるウルトラマン!大人の自分はめちゃくちゃ楽しめた!

第一話がかなり異色で、池袋周辺で怪獣相手に『シン・ゴジラ』っぽいリアル寄りなドラマが繰り広げられる。これ、子どもはどう感じるんだろう。
思えば自分が子どもだった時、怪獣映画の大人同士の会話はよく分からなかった。理解出来なかったからこそ、それを観ている自分も大人の仲間入りが出来たような気がして、ちょっと誇らしかった気がする。もしかしたら、今の子どもはこの作品を観て、同じような誇らしさを感じるかもしれない。
そうだったらいいな。

地球防衛組織スカードの面々はみんな魅力的で、彼らのやり取りを観ているだけで飽きない。
ウルトラシリーズで目立つのはヒーローと怪獣だが、やっぱり影の主役は防衛隊だ。この作品は、それに関しては文句なし。
主人公が隊長という設定もあって、部下たちのケアをする過程で仲間意識が芽生えていく自然な流れが出来ている。
上司として尊敬できる人物で、組織内の軋轢にも部下を守りつつ引かない姿勢がカッコいい。
第三話で他部隊の射線に入らざるを得ない作戦を展開する時の、「やめろ、同士討ちになる!」「じゃあ撃たなきゃいいでしょ」のやり取りにはシビれた。
大人になると立場や建前があって、子どもでも分かる当たり前が出来なくなるってこと、確かにあるなぁ…。

仕事人間としてのドラマは面白い反面、結婚している家庭人としての設定はあまり活かされているようには思えず、妻も息子も物分かりが良すぎるのがちょっと気になった。
子ども向け番組で家庭内不和を描くのもなんか違う気がするのでこれで良かったのかも知れないが、授業参観や子どもが熱出して仕事早退きみたいな、設定を活かしたドラマは観たかったな…。

そんな主人公が変身するブレーザーは、かなり尖ったウルトラマン。
戦闘民族のように雄叫びを上げて、ムエタイのような動きで戦う、歴代でもかなり荒々しいウルトラマンだ。
変身前のキャラとはかけ離れていて、これは結構戸惑った。せっかく大人を主人公にしたのだから、そのメリットが活かせる戦闘スタイルでも良かった気もする。
この主人公とブレーザーのスタイルの違いは、少しチグハグな印象を感じた。変身してテンションが上がるなら、それはそれでいい。ただ、何かしらの説明というか納得感が欲しいところだ。

とはいえ気になったの部分以上に面白い部分の方が圧倒的に多い。ストーリーも一本の大きな謎をエピソードをまたいで引っ張りつつ、最終回のアツい展開へと繋がっていく。
まだまだ続きが作れそうなので、これはぜひ第二期が観たいところ。
七沖

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