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季節のない街のttttのネタバレレビュー・内容・結末

季節のない街(2023年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

とんでもないドラマ。
登場人物みんなに正解も不正解もない。最終話の島さんのここはユートピアじゃない、のセリフは半助だって誰だってみんな分かってるけどそこ以外に行き場所がない人の掃き溜めになってるっていう虚しさと、そんな仮設住宅だってやかましいことをしてしまえば一瞬でチリになる呆気なさ。ここふたつをあんなにも楽しく描いてしまうのだから恐ろしい。
「街へ行く電車」、「親おもい」、「半助と猫」でそれぞれ異なる形の家族の話を描いて、その後に「牧歌調」、「僕のワイフ」では夫婦の話、「プールのある家」と「がんもどき」ではまた家族の話に戻って、1話完結ではあるけどテーマは一貫とされていたからそれぞれの幸せがある、とか生ぬるいことを言ってられる話じゃなくなっていく。一見ハッピーエンドに思える終わり方だって客観的に見たら実は全然救われてなくて、それでも人生は続いていくっていうやるせなさを残して終わってるのにどこか爽快感のあるドラマになってた。面白いと言えない話もあるけど、それでもこのドラマを表現するのには私は面白いという言葉を使ってしまう。

宮藤官九郎の描く家族って本当にどうしようもないくらい毒なんだよな。離れたいのに離れられない、でも血は水よりも濃いし子供もそれがわかってるから逃げようとしない。だから子供は亡くなってしまうし、心に一生癒えない傷を負うし、自分で死を選ぼうともしてしまう。1話目で六ちゃんっていう成立した親子関係を見た後に続く親子関係がどれも歪で苦しいのが印象的。プールのある家なんて最後のリッチマンのセリフがどこか他人事で無責任で、なのに本当にそうでしかなくて悲しくて泣いてしまった。

これを見たあとに見ると、不適切にもほどがある!はある種別の意味を持っているドラマとして受け止められるの、クドカン最高だ。
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