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デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士のmityのレビュー・感想・評価

4.0
良作でしかなかった!前後編に加えてもう1編あれば、と思った程濃密だったなぁ。

耳の聞こえない両親をもつコーダの尚人。家族の中で唯一の健聴者ゆえ、勝手に役割を与えられてしまうというのが、本当に···。尚人はただ聞こえるだけ。でも聞こえるからこそ通訳するのは当たり前と捉えてる尚人の兄。ふたりの間にあった軋轢は、家族だからこその甘えや配慮のなさゆえかなと思った一方、周囲からも同じように当たり前に通訳を求められるのだから、コーダの役割の重さというのを、また思い知らされた気がした。

自身の技能を生かし手話通訳士として働く尚人を頼りにしてる、益岡がふと漏らした、子どもを持つことを許されなかった過去。片貝弁護士がふと漏らした、母親からの悲しい言葉。過去に何があり、今まだ何があるのかという偏見や差別が、ひとつひとつは僅かなシーンでも沢山描かれていて、何かほんと私はいろんな事を知らないなぁと思った。。

ろう者役はろう者に、難聴者役は難聴者に。このドラマは、その姿勢が大切に反映されていたんじゃないかなと思う。手話は流行じゃない。ドラマ内でもあったこの台詞、その重みが今作にはあったなと思った。

丸山正樹さんの同名小説を映像化した本作。サスペンスとしても面白かったし、また是非とも映像化してもらいたいな。
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