歩

警察署長の歩のレビュー・感想・評価

警察署長(1983年製作のドラマ)
3.9
面白かった。1920年代、1940年代、1960年代の3つの時代から見るアメリカの光と闇 戦争、人種差別、警察の腐敗、PTSD、銃社会、猟奇殺人、家庭内暴力…。歴史と共にあらゆる負が小さな町を襲う。

3人の警察署長が出てくるんだけど、それぞれの個性が抜群。1人目は初代警察署長。農民出の善良な白人男性で、献身的な妻と二人の子供たちに支えられながら慣れない仕事をこなしていく。2人目は幼い頃から家庭内暴力に晒され性格が屈折してしまった、粗暴な人種差別主義者。常に性欲丸出しで目に止まった女性をエロがりまくるクソ野郎ながら、事件の真相に近づいていく意外性は一番。3人目は町で初めての黒人署長。軍での経験を活かし、腐敗しまくりの警察官たちを軍隊式で律していく。難しい立場で奔走する姿は思わず応援してしまう。一方で意外な過去を持つ男でもあり…。

予想できない展開、登場人物たちの意外な関係、伏線の数々。原作は「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦氏が影響を受けた作品らしく、それも頷ける完成度。映像的に特筆すべき点は特に無いし、目を見張るような演出もあまり無いけど、なによりもやっぱり脚本(原作)の出来が素晴らしいし、俳優たちの演技も凄いのでめちゃくちゃ見てられる。オススメ。
歩