本作の弁護士ジャガーズは、過去の映像化作品の中で最も魅力的だったと思う。
ジャガーズの配役・衣装・キャラクター造形・演技……全てとても良い。
死体遺棄やらアヘンやらはなんのその、音も立てず凶悪犯に銃を突きつけたりもできるアサシンめいた不良弁護士。己のことを“邪悪”と称しながらも、後半では情深く愛らしい一面を見せまくる。なんてホットなんだ。
期待大であった、オリヴィア・コールマン演じるミスハヴィシャム。プロモーションもほとんど彼女が看板であったが、言うまでもなく素晴らしかった。
物語終盤のミス・ハヴィシャムの描かれ方も、原作含む今までの「大いなる遺産」と異なる形での幕引きであったのが好印象だ。
女性キャラクターはエステラだけでなく、サラ・ガージャリやビディも深掘り・設定アレンジされており総じて良かった。
本作は原作以上に暗く湿った雰囲気であったが、“紳士”であることの有害さ、“女”に生まれることの不遇、人生の選択の“優劣”について、現代的な側面をもって切り込んでいた。
前半は少々退屈で、主人公ピップの言動に(同情の余地があるとはいえ)ややイライラしてしまったが、後半からは面白さに拍車がかかり楽しむことができた。個人的に4話からが好きだ。
「大いなる遺産」、これからも何度も映像化されてほしい。
