camuson

ルーツのcamusonのレビュー・感想・評価

ルーツ(1977年製作のドラマ)
4.8
子供の頃にテレビ放映を部分的に見た記憶があります。
脱走癖がある黒人奴隷主人公が、しまいに足を切られるというのは、
うっすら覚えてました。

奴隷狩りにより、アメリカに連れてこられたアフリカの若き戦士クンタ・キンテ(奴隷名トビー)、
その娘キーゼ、その息子ジョージ(闘鶏師)、その息子トムと四代を通して綴られる
黒人奴隷の物語。

40年以上前の作品ながら、今見てもまったく色褪せることなく、
人生の悲しみ喜びがシンプルに濃密に詰め込まれて、魂が揺さぶられます。

物語はかなりの駆け足で進みますが、
そのスピード感で、人の人生、そしてその代々の連なりを俯瞰することとなり、
自分一人の意思ではどうしようもない命運と、
その中でなお意思を強く持ち続け生きる人生とが明確に対比され、
終盤のカタルシスをより大きなものとしています。


9時間以上に及ぶ大作は劇場映画では難しく、
各家庭で見られるテレビというメディアだからこそ実現し得たものです。
そしてテレビというメディアが、まだ若くて可能性と活気に満ちあふれていて、
メディアとしてのプレゼンスが高かったからこそ、
クリエーターが集まり、視聴者が集まり、質の高いエンターテインメントとなり得ました。

今の時代で、これほどの作品をつくるのは難しいかなと思います。

黒人役者の演じられる年齢幅の広さには感心させられました。
白人役者もホントにヤなヤツなんじゃないかと思うくらいに上手く演じていて良かったです。
camuson

camuson