藍住

アッシャー家の崩壊の藍住のネタバレレビュー・内容・結末

アッシャー家の崩壊(2023年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

物語の幕引きがあまりにも上手すぎて私は座席から立ち上がり、拍手をすることしかできなかった。
お見事!!
古典作品を今映像化する意義を実感できる作品に出逢えて、しかもそれを好きになることができて嬉しかった!

以下は各話の感情のままの感想です。

・1話
古典小説を今映像化する意義が感じられる1話だった。
多種多様なキャストで一族の話をやるフラナガン本当に信頼しかねえ〜〜〜〜〜
人種も年齢もバラバラだけど家族なの!!
腹違いの家族という設定なの!!
これだけで1億点加点なのにセクマイめちゃ出てくるから合計2億点叩き出してた💮
デュパン役にカール・ランブリーに任せてるところもほんとに信頼できるよ……だってホームズやポアロの役に有色人種の俳優をキャスティングするのと同じだからね。
しかもデュパンには同性のパートナーがいる。
皆んながやらないことをさらっとやるじゃん。天才?(n回目)

『シャイニング』の有名な曲流れてたりウィジャボードがあったり(幼いマデライン役をルールー・ウィルソンに任せてるのも粋だな〜!)(ルールーはウィジャビギニングに出てる)ポーお得意の生き埋めエピソードをめちゃくちゃ怖く撮ったりもう1話の時点でやりたい放題で最高。

・2話
やばい、どうしよう。
面白すぎる。
まだ2話目なのに。2話目!?!?
「赤死病の仮面」が原作なので最後はああなるんだろうなとは思いつつ観たけど原作に負けずに悲惨……なのになんて美しい幕引き……赤いローブを纏うカーラ・グギノ……あまりにも美しい………。

アッシャー家の人たちの突然の特殊性癖大展覧会は流石になに!?ってなったけど茶化したりしてないところが好きだし、マジで裸体に全く興味ない撮り方してるのもほんとに推せるんですけど!?
助かる〜〜〜!!!!!!!

そういえば色々な仮面をつけてる人が出てきてたけどHUSHの例の仮面を付けてる人いましたね!?相変わらずさりげなく楽しいことをやってくれるところ好きよ。

・3話
原作読んでるのでどうなるかはなんとなく分かってても、チンパンジーが出てきたら条件反射でやべえと思うようになってしまった私には(皆んなNOPEを観よう!)緊張に耐え続けなければならない1時間。
凄い緩やかに崩壊してるぞこの一族!
搾取にNOを突きつける回でもあった。

やっぱカーラ・グギノの撮り方が過去最高に良いな……!!
そしてカーラ・グギノも過去最高のお芝居を見せてくれるので素晴らし過ぎるとしか言えない!!
なんて美しき破滅の使者……………。
いっぱいお着替えもしてて嬉しい。

・4話
満を辞して黒猫の回!!
そういう方向性で舵切ったのね!?!?!?
大胆な再構成の仕方だ……!!
好き嫌い分かれそうだけど私は好きですねこれ。
3話と4話は猫好きな人には注意が必要なんだけど相変わらずぬいぐるみと分かる猫を使ってるのは偉い。

・5話
ここに来て「告げ口心臓」を一番怯える形でぶち込んでくるフラナガン、やっぱいつものフラナガンだな!(フラナガンはいつも5話辺りからギアチェンジする傾向がある)
終盤の種明かしが見事すぎてiPadぶん投げそうになった。
怖過ぎるし最高です。
マジで絶句してしまった。
タニア・ミラー良過ぎ、優勝。
ブライマナーとは違う顔を見られて嬉しかったよ!

5話まで観てきたけど脚色はこれが一番良かったのではないでしょうか!?!?
一応原作読んでるけど、ポーに詳しい皆さんはどう!?!?!?

・6話
原作になってる「黄金虫」って一応謎解き冒険小説?みたいな感じだったよね?
ど、どうしてこんな…………(呆然)って感じだったけど面白かった。
ただしやだみは全開です。
彼女が見せたくなかった部分があんな形で露呈して共感性羞恥も触発されて割りとダメージでかいです。

・7話
原作があんな感じなので振り子ネタを上手くやれてたら盛り上がっちゃうかもしれないな〜とか思ってたらガチの振り子をネタやってて大歓喜しちゃった。
天才???????????
やっぱりフラナガンはヘンリー・トーマスの使い方をよく分かっているな〜!と改めて思い知った回であった。ここでロデリックとマデライン、アナベル、デュパンの4人に何があったのかが種明かしされるわけだけど本当に辛くて、でも兄妹はそうするしかなかったんだよなあと思って顔くちゃくちゃにして観ていた。
正しさよりも強いもの。正しさを選び取れない人もいるということ。

ここまででアッシャー家の子供たちが全員死んでしまったけど、皆んなそれぞれ色々な境遇で今日まで生きてきたわけだから観客に少しでも情けをかけてもらえるように描いても良いところをフラナガンは絶妙に嫌な人間に仕上げてお出しするので全然嫌な気持ちにならないの凄い。

・8話
アメリカに蔓延る深刻な鎮痛剤の問題をこういう形で描き切ったところが本当に素晴らしかった。
高く積み上げられた死体の山の上にそびえ立つ製薬会社。
それでも彼らは自分たちの足元を見ようとしない。
それがそのまま現実のアメリカに直結する。

あと虐げられた女性の怒りを最後の最後できちんと爆発させるところが良くて、この力強さはフラナガンやフラナガン組でしか描けない部分だよなあと思う。
フォロワーも言ってたけど誠実なの。
こういう姿勢が。

最終話が大鴉(詩)でどんな風に物語を畳むんだろう!?ってドキドキしてたら完璧なタイミングでNevermoreがぶち込まれて一発KOでした。
いや〜これはひれ伏すしかないでしょ!?!?!?
天才!?!?!?!?!?!?

アッシャー家の栄枯盛衰をポーの作品を再構成して一つにしたフラナガン組の職人技、磨きがかかってて最高だし、でもきちんと社会派ホラードラマにもなっていて、最後には未来もあって、なんかめちゃ濃密な大河ドラマを観られて感無量だった……。
最早『平清盛』じゃん。(?)

アッシャー家の人たちがほぼセクマイで構成されているところも流石だな〜!と思ったけど、最後の最後でアーサー・ピムもセクマイ(Aロマ)っぽいことが仄めかされているところが当事者としてはとても嬉しかったです。
次回はその先も描けるといいね。
フラナガンの作品は息を吸うようにセクマイが出てくるので本当に助かります。

いやでも(例えどいつもこいつも絶妙に嫌なキャラクターに仕上げられているとはいえ)セクマイがほぼ死んじゃうのはこのドラマのダメなところなんですけど!!
まだホラーというジャンルでセクマイがバンバン死ぬには母数が少なすぎるので。
次回も頼むぞ!!!!!!!!!!
藍住

藍住