凜

東京裁判の凜のレビュー・感想・評価

東京裁判(2016年製作のドラマ)
3.5
音声日本語、日本語字幕オンで視聴しました。
作品では、原語のままで聴くと、オランダ人はオランダ語といった現地語で話している点はとても現実に即しています。海外映画やドラマでしばしば見られる「ヒトラーの映画でナチス親衛隊が会話している言葉が英語」という不思議な事がありません(笑)。

一方、日本語での利点は、字幕の訳よりずっと自然な訳でした。多少意訳もあるのでしょうが、字幕はどうしても字数に限りがあるところが欠点で短く切る必要が出てきます。それは戸田奈津子さんもかなり昔から仰っておられます。

今回は法廷モノで、とても複雑、かつ機微な内容です。そのため、原語でしっかり理解するためには、かなりの慣れが必要と感じました。

加えて見せ場とも言える東郷らの証言について。原語では証言者の声に英語のセリフが被せられており、本人の声を聴くことができません。
日本語音声では、証言者本人の声ではないものの(DVDの音声ではとても小さく不鮮明で聞き取りづらいです)、発言内容は一言一句ご本人のままを聴くことができます。

音声について長く書いてしまいましたが、物語についてはみなさまと同様によくここまで描いてくれた、の一言に尽きます。

英仏米は、議論を深めることなく圧力と工作に走るあたり、今と全然変わっていませんし(苦笑)。「平和に対する罪」の適用について、かなり力を置いていたと感じます。

パール判事のことも、なかなか知られていないので、こうやって取り上げてもらえると有難いです。
ひとつ、彼がインドを独立させたところで「ガンジー」の名前を挙げたところでは、流石に「チャンドラ・ボース」の名前は出せなかったのねとも。彼の名前を出せば、日本軍と一緒になってイギリスと戦ったことに触れざるを得なくなりますので(汗)。

連合国側の原爆や植民地支配、奴隷は許されるのか?などについても少し触れてくれましたし、NHKが作ってきた数々の他作品とは比較にならない傑作だと感じました。
凜