ごn

殺しがふたりを分かつまで:ソーリングvsヘイソムのごnのレビュー・感想・評価

3.5
この事件知らなかったので、最後まで興味を持って観られた。

ちょいちょい、この手の話で、初動捜査における心理的な決めつけによる杜撰な捜査が目につくが、これもそう。
もっと初動できちんとフラットに緻密な捜査をしていればなぁ・・と。
ルームサービスのレシート回収しろよ、とか。ホテルの防犯カメラはみたのか?マリオットだったらあっただろ、とか。吸い殻のDNAは?とか。

イエンス本人が色々語っているのだけど。
なんというか。聞いていると、なんだか信じてしまう自分と、何か得体のしれない詐欺にあっているような気持ちにもなって、え?わからん。わからん。わからーん。となる。
エリザベスもそう。彼女の方がもっと複雑で。去勢をはった虚言癖にも見えれば、本気で怯えているようにも見えるし、なんだかわからんくなる。
ふたりとも違う種類のブラックホールみたいなものを心の中に持っていて、それが完璧に噛み合っちゃったってのはよくわかる。

結局、事件の真相は闇の中。
真相はこうだったのだろう、というのはオチとして描かれているし、まぁそうなんだろうけども。
だからこそ、なおさら、二人がなぜ、真逆の供述をすることになったのか。
ただの公開痴話喧嘩なのか(エリザベス本人が公開離婚と言っている)。意地の張り合いなのか。
一蓮托生から絶対に抜けさせてくれないし、抜けようともしてないし。
お互いの人生を蝕み尽くすほどの、そこらのバカップルの共依存をはるかに超えたパラノイア的な愛憎が凄まじい。
コワイ。

どちらかが先に死んだ時に、真相が語られるのかしら。最後まで語られないのかしら。

事実は小説より奇なり。

二人も凄惨な殺され方をしているので、面白いといってはいけないけども、自分もちゃっかり翻弄された感を味わえて、堪能できました。

ジョン・グリシャムさんまで登場して。
民主党が政権握れば状況が変わるとか平気で言ってたけど、政権党で正義が変わるというか、法がブレるってことを、事実なんだろーけど、この手の人が堂々と言っちゃうあたり、ごつい国やなと。良し悪しやが政権が定期的に交代できる体力があるということのもつ意味を考えてしまう。

イエンスがドイツに帰国したときに「ドイツ全警察をあげて歓迎します」ってなってて、独米の関係性って、そんな感じなん?とか。

そういうのもチラチラ垣間見えて本筋とは別のところで興味深いドキュメンタリーでした。
ごn

ごn