YasujiOshiba

不適切にもほどがある!のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

不適切にもほどがある!(2024年製作のドラマ)
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U次で由美さんと並走中。『離婚しようよ』をふたりで楽しんだので、これも追いかけている。第5話『隠しごとしちゃダメですか?』までキャッチアップ。

そうだよな、クドカンはふざけているように見えて考えていて、笑っているように見えて忘れられそうな痛みを汲み取ってゆく。だから1995年1月17日なんだ。『あまちゃん』が2011年3月11日を乗り越える笑いだとすれば、こちらはさらに射程を長くして、地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災で切断されながら連続する歴史/物語。

デロリアンならぬバスを使ったタイムトラベルというSFネタで浮かび上がらせるのは、一見、1970年生まれのクドカンらしい小ネタに次ぐ小ネタ。スケバンの代名詞の三原順子が政治家になっていたり、マッチ大好きの不良青年にだった。

既読スルーのイライラ感や、ジェンダーはジ・エンダーだったり。ホモの人がいるんだから、ジェンダーの人の気持ちを考えようねとか、「俺の好きなかたせ梨乃や西川峰子なんて」とぶちあげて、トリンドルちゃんの演じるインティマシー・コーディネーターを狼狽えさせちゃう。

でもね、狼狽えるトリンドルちゃんがきっちりと、昭和の体育教師のど正論「演技したくてここにいるんだろ?」を汲み上げることで、コーディネートをしてみせるところがクドカン。体育教師ってのは、そうやってコンプラ破りのなかで、相手が目覚めることで教師を務めてきた。

教えたんじゃない。相手が勝手に目覚めるのだ。それが「教育の奇跡」なのだとすれば、どんな教育だって奇跡の連続なのだ。教師をするために教師をするような、先生と呼ばれるために先生をするようなトートロジー野郎は捨て置けば良い。おためごかしもクソッタレ。

でも、エロもおっぱいも大好きだけど、娘にはさせたくないという矛盾を抱え、肩パッと命の六本木の女衒野郎がそれでも一途に恋してくれるのなら、きっちり認めてやって朝まで飲みあかす。そんな浪花節のために、あの日あの時あの場所にいることになったのだとしても、それが人生... 落涙。

くそ、やられた。

う?まだ続くのか。

じゃあ、もう少し付き合ってやるぜ、クドカンよ。
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