Moiai

不適切にもほどがある!のMoiaiのレビュー・感想・評価

不適切にもほどがある!(2024年製作のドラマ)
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世間にもわたしの周りにもコンプラが息苦しさをどうの、とか、西洋の考え方を無批判に取り入れてどうの、とか訳知り顔で苦言を呈したがるひとたちはたくさんおり、そういうひとに限ってコンプラとポリコレの違いも分かっていなかったりして、そういう言説を聞くたびにただの怠慢じゃないかと思う。宮藤官九郎さんはまさかね……と思っていたが、7話まで見てたぶんそのまさかだと思うに至っている。フェミニストとされる社会学者については終始ただの「ミーハーな風紀委員」みたいな扱いで、きっと本当に「ミーハーな風紀委員」にしか見えていないのだろう。わたしをエンパワーしてくれた地上波フェミニスト作品たちを思うと、それらとのあまりの乖離にドン引きを超えて虚無であった。毎話毎話、正しく理解もせずに「はやり言葉」の表層だけをなぞっているように見え、しかしそんな程度で地上波ドラマの脚本家として仕事が任されるはずはないので、逆に何か意図があるのかもしれない、たとえば現実の日本でのインティマシーコーディネーターの仕事は実際あんな感じにとどまっているので早急に改善すべきだよね、みたいな提言とか、と思おうとしたが、ドラマの流れ的にそんなことはまったく読み取れないようなつくりで、しかもそういう大事なところでわたしたちの愛する吉田羊さんやトリンドル玲奈さんを雑に使うので腹が立つ。
と言いながら悲しいことに、いやクドカンだし……という一縷の希望も捨てきれないので一応最後まで見ようと思います。

とにかく今のところこのドラマを楽しめるひとたちのなかにはわたしはおらず、そう思うと「わたしたちのドラマだ!」と狂喜乱舞できることってとてもありがたいことだな、と思い、てことはバカリズムさんって相当すごいんだよなやっぱり。バカリズムさんのこと、ずっと大切にしようと思う。あとテレ東ドラマね。みんな今すぐに『今夜すきやきだよ』を見てください。
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