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不適切にもほどがある!のakariのレビュー・感想・評価

不適切にもほどがある!(2024年製作のドラマ)
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新感覚!とっても面白かったです。時代が変わる前から書き続けているクドカンがこの作品を書いたのが素敵だと思いました。「もはやテレビが向き合うのは視聴者じゃない、見てない連中なんだ!」ここ本当に意味不明すぎて笑いました。なのに意味はわかるので意味不明でした。つまりは最高でした!
初手「起きろブス!」の不適切さにゲラゲラ笑いました。とにかく「話し合いましょう」が心に残った第1話。現代じゃそのままでいいよと言われることも多く、他人からアドバイスを受けてもなんとなく聞き流してしまう私に響きました。
お父さんのためにわざとグレていた純子が優しい。言葉や見た目はとんがってるけど、優しくて可愛い女の子でした。「出来ることがあったら言ってね」よく聞く言葉ですが、相手にとって出来ることは自分がしてほしいことと紐解かれ納得しました。覚えておきたいです。幽霊自転車考えたの誰だよ。笑
第3話、八嶋智人が面白すぎました。天才でした。セクハラだらけのズッキーが裏では紳士なのも、1年前からやってたみたいにMCをこなす八嶋智人もかっこよかったです。盛り上がりも炎上もせず元から八嶋がMCだったように、ネットニュースにならないように。大変な時代になったものだ。リスクマネジメントに勤しみまくる山本耕史がMVPレベルで私のツボでした。
第4話「SNSは本気で向き合う場所じゃない」心が救われる一言でした。井上からの告白に偏見を持たず付き合ってみることにしたキヨシ、父子だぞ。多様性を認める社会学者のはずなのにこればかりは認められないサカエさんが可笑しかったです。ムッチとキヨシに取り合われる孤独な純子は可愛すぎました。ムッチ先輩かっこいいんだけど面白さが勝ちます。やる時はやれるキヨシも良かったです。
渚と市郎の関係が明らかになった第5話。錦戸くんかっこいい!市郎は純子の未来を分かっていたけど騙されたふりをしていました。続く第6話、市郎と純子の親子愛に感動しました。市郎が帰ってきて嬉しそうな純子が可愛いです。はにかみ笑顔がたまらないです。渚に良い名前だねって笑いかけるのも、子ども好きって言うのも“母”を感じて切なくなりました。すごく笑えるのに家族の温かみに涙が出てきます。回を追うごとにどんどん面白くなっていく!
令和に来て、いわゆる垢抜けた純子が可愛かったです。デジカメに収めた写真は消えてしまいました。一生記憶に残るのは、景色じゃなくて一緒にいた人なんだと思いました。「回収しなきゃダメですか?」予め決まったラストに向かうのは脚本家の発想です。生きている私たちにとって大事なのは結末ではなく今。ドラマのようにスキップは出来ないからこそ、今に誠実でありたいです。
ハラスメントも性別も性格も、分類が増えました。分類して、その後はどうしよう?結局自分と他人にしか分けられないような気がします。同じ分類にいる人でも、その中でもそれぞれ違うから。「世界は広くて、先輩の背中よりもっと広くて、色んな生き方があるって知ってしまったの」純子いいこと言う〜生きづらい時代だけどいいところもたくさんありますね。
近年減ってきてしまった言葉を直接交わす、ということは緊張するし、もちろん嫌な思いをすることもあります。だけどそれはスマホやSNSでも同じで、昔から変化していない部分です。楽な方に逃げないで、人とはちゃんと向き合いたいと思いました。自分では適切だと思うことも誰かにとっては不適切だったりする。相手がアップデートできていないのかもしれない。それでもまだ全部を否定するのは早い。窮屈すぎる世の中、もう少し他人に寛容になりたいし、なってほしいなと思います。
「あいみょん、なんで俺の気持ち知ってんだろう」良い2024年だ。
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