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仮想儀礼のsuncineのレビュー・感想・評価

仮想儀礼(2023年製作のドラマ)
4.1
現代の日本で、無職になった男2人が胡散臭さ満載の新興宗教的詐欺集団を立ち上げるところから始まるNHKドラマ。

メディアが触れたがらないテーマに触れているだけではなく、これまでに観たことのない展開もあり、重い社会ドラマでありながらも毎週気になって観ていた。宗教作れば金稼げるんじゃねという発想から始まる物語が尖っていて、もう面白い。

現代の日本における宗教に対する一般的な先入観の多くは"危険"や"恐怖"に関連しているものだと思う。もしくは"無関心"か。恐らくこれには、一部の新興宗教集団の過激さがメディアを通じて著しく際立っていた過去の日本社会の影響が少なからずある。

日本は神道という民族信仰であるとされていること、世界の7割以上が特定の宗教を信仰していることをどれくらいの日本人が覚えているのか。(知るべきと強制したいのではなく)
「日本で暮らしていく上で、それらは知らなくても平和に生きていけるから知らなくてもいい」という考えはあって当然だし、そもそもテレビ観てる時に宗教についてどうこう考えるわけがない。

ただ、宗教には映画やドラマ•クラシックよりも長い歴史があり、今もなお多くの人間が宗教を信仰しているという現実を認知しておくことは必要だと感じる。
時に人は理屈に合っていない言葉を何よりも頼りにする。合理的に生きることが求められる閉鎖的な社会で人は何かを頼りたくなるが、それを誰かに告げることは難しい。そういうときに、無条件に頼れる"宗教"という存在は人の心の支えとなるのだろう。(信仰心が深くある訳ではないためそこまで分からないが)

そんな人達もいることをこのドラマを通じて改めて知るし、合理的に考えてしまうことで人に対する目を一気に決めつけてしまい、心を冷たいものにしてしまうこともあるなと感じた。

でも文化として気になるとしても、宗教に関心がありますとか言い出せないよなこの世の中笑
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