このレビューはネタバレを含みます
BSプレミアムドラマ
誠は何をしたかったのだろう。
回向に幼少期から青年期まで振り回され、逃げ出し、宗教オタクの正彦に出会う。彼にゲームの大成功の夢を与え、失敗すると出奔する。正彦との再会は回向との再会のように悪夢であったろう。
正彦の宿に転がり込み、インスタント麺を食い尽くし、消える予定が、教団作りに変わる。回向に代わるものが欲しかったのか。ただ、見聞してきた団体の情報を使えると閃いただけか。正彦の中に何かを観たのか。単に正彦を騙して喰い物しようとしたのではないと思う。
信者と金が集まる中で、単純な成功の喜びから、回向化していく真法会に、実際に回向のドンに会うことで、自己の内部の恐怖と他者に対する罪悪感は、思わぬ形で表出し、麻子との情事と情報のリークへと破綻する。
転換点は、正彦への告白と正彦からの赦しのハグ、この時、誠は神と出会ったと感じ、思わずキスをする。
その後は、正彦にどんな罪を犯した者も、自分達を迫害した者さえも、救えと助言し続け、最期は、皆に感謝し、正彦に手を伸ばして息絶える。正彦は彼の死後、何度も何度も誠の言葉を反芻したのだろう。
彼は自分の身を以て宗教者を産んだ。と思うがどうだろう。