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舟を編む 〜私、辞書つくります~のihatov1001のレビュー・感想・評価

3.8
【BS/CS】三浦しおん氏の人気小説のドラマ化です。中型国語辞典「大渡海」の完成にむけて心血を注ぎ続ける玄武書房辞書編纂部の人びとを描いた物語です。2013年に公開された映画に続く映像化で、内容を映画や原作とはかなり変えてきました。一番大きな変化は、岸部みどりという脇役を中心に物語が動くことでした。原作ではあまり目立たない彼女ですが、島流しのごとく辞書編纂部に転属してきた彼女にも葛藤や決意があったはずで、そこらへんが深掘りされているのが面白かったです。

また、原作では想像しかできなかった辞書編纂や製本の具体的な仕事がより詳しく見れたことも面白かったです。

さらには、辞書の完成を2024年に移動させることで、登場人物たちにコロナ禍を経験させたのも面白い試みだと思いました。人類にとって未曾有の惨劇ではあったものの、彼らにとっては新しい言葉が次々と生まれる時期でもありました。

またキャストも、主人公の馬締役の野田洋次郎さんや岸部役の池田エライザさんを始めとても良かったです。中でも老言語学者松本を演じた柴田恭兵さんの知的で温和で枯れた感じが良かったです。格好良いだけではなかったのですね。
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