シガーandシュガー

ヨークシャーの切り裂き魔事件~刑事たちの終わらぬ苦悶のシガーandシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

1975-80年に、イギリスで女性13人殺害、重軽傷7人を出したシリアルキラー、ピーター・サトクリフの事件をドラマに仕立てた作品。
なかなかサトクリフを捕まえられない警察の苦悩を中心に描いているが、その警察官の中で応援できるのが最初に担当したデニスという刑事だけというのがリアルでいい。
他の警察関係者が特別悪い人間なわけではないのだけど、事件への向き合い方がデニスより温度が低い。デニスが心ならずも捜査を引き継いだ元部下ホブソンも、ホブソンから指揮権を奪い取ったオールドフィールドも、犯人を捕まえようと必死ではあるが功名心や慢心が見え隠れするような人間くささがあった(良かった)。

視聴前には予想もしていなかったけれど、女の置かれている状況を意外とちゃんと描いてくれているので、見終わったあとがとてもしんどかった。
春をひさがなければ暮らしていけない状況、ひとりでバーにいただけでふしだらだとみなされてしまう息苦しさ、ひたすら「奪われる」立場にいる女性を見せられ続けるのはなかなか堪えた。マイルドな描き方だとは思うけれど・・・。

このドラマでは、犯人のサトクリフについては逮捕の瞬間までで、動機や異常さなどには触れていない。被害者と警察の苦悩を描くドラマだということなのだろうと思う。

サトクリフは、2020年にコロナで死亡したらしい。