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サムダルリへようこそのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

サムダルリへようこそ(2023年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


いや~良かったです。
でも、はじめに言っておくと、
「悪の花」のイジュンギ様同様、
チチャンウク様にも
ハマりませんでした。
しかし!今までも、
チチャンウク様のドラマは観てるけど、
このヨンピルが最高に良かったと思う。
 はじめはちょっと、馴染めなかったけど、
次第に、まっすぐで一途な男・
ヨンピルそのものになっていた気がする。


【「恨(ハン)」の文化が見事に着地】
同じヒーリング系ドラマだと
「海街チャチャチャ」と比べてしまうけど、
私は、こっちが断然、好きです。
 面白い事に、どちらも韓国の「恨(ハン)」
の文化が練り込まれている。
チャチャチャの方では、ホン班長に対する
「恨(ハン)」がどうにもこうにも、
納得いかなくて、憤慨したものだが。

ヨンピル父の、
サムダル母(ミジャ)への「恨(ハン)」も、
本当にひどいと思う。
海での事故について詳細に描かれていないけど、
多分、自分の妻を助けてくれなかった!!
って恨みを持ってるだけの話で・・・・
ミジャが何か故意的にしたとか、
そういう事ではないと思うんですよね。
 なのに、何十年も、
こうして威圧的に恨みを持っている事、
それにミジャが耐えている事が、
どうにも、納得がいかないんです。

 でも、最終的にドラマにおいて、
どうしてマイナス要素にならなかったのか。

それは、勿論、和解という着地を
見せてくれている・・・
という点もあるんですけど。
 これはこれで、「今まで、散々恨んどいて、
なに、仲良くなってんねん!」とか
怒りが収まらないはずなんです。

 なのに、私は、最終的に
このアボジに共感してしまうんです。
それは、やっぱり、
アボジを演じた
ユ・オソン様の演技の力
なのかな~と思ったんです。

「むやみにせつなく」でも思ったけど、
ユ・オソン様は本当に
すばらしい役者さんだと思う。
 お門違いな恨みに、腹立ちつつも、
このアボジの、亡くなった妻に対する
深い愛情を知っていく事になるんですよね。
 もうこの辺りが、本当に丁寧に描かれてて、
アボジの中にあるのは、怒りだけではなく、
妻が忘れられていく悲しみや孤独も
あったんだと知る事になる。
 人間は誰しも、器用に自分の感情を
整理出来ないものなのだと。
不器用に、自分の感情と向き合いながら、
生きていくしかない人もいるのだと思った。
 「ミジャを許したら、
妻を忘れてしまう事になる」という、
アボジの中にある屈折した信念が、
最終的に理解出来た事。
 ここが全てだったかな・・・
と個人的には評価している。
アボジが、妻との出会いを思い出し、
愛の素晴らしさに立ち戻った時、
「お前たち、それでいいんだ。愛しあえ」
の場面は、大号泣。

チャチャチャでは、
ホン班長が受けた「恨(ハン)」に対して、
何ら、反抗出来ていなかった。
そして、その「恨(ハン)」に
行きつくまでの描写が不十分だった事が、
私の怒りを買ったのだ思う(笑)
 
このドラマで、
韓国の「恨(ハン)の文化」というものの、
新たな一面、解釈を得たような気がする。
 自分の中ではどうしようも出来ない
負の感情が、こう滲み出た
副産物なんじゃないかと思うんですよね。
(もちろん、そうではないものもあるだろうけど)

そして、ミジャやその夫が、
きちんと自分たちの言い分を、
(時間はかなりかかったが)
言えるシーンがあったのは、更に良かったと思う。
 言われて、確かに俺って理不尽に怒ってる・・・とちょっと
気付いた感のあるユ・オソン様の
演技も最高でした。
 ミジャが、もっと悲観的で、
ヨンピルと娘の交際を止めようと
しない所も素晴らしかった。

【一貫したメッセージ】
 「帰る場所」があるという事の大切さを、
最初から最後まで一貫して、
描かれているのが素晴らしかった。
 特に、シン・ヘソン様の演技が秀逸でしたね。
 キャラクターを崩さずに、
孤独を抱えながら虚勢を張るサムダルが、
済州島での生活、ヨンピルの絶対的な
優しさに触れて、
その虚勢が剥がれていく過程を、
ちょっとした演技や仕草で、
見事に演じていたと思う。
 最終的に、ゴレンジャーみんなが
ソウルで成功してるのって、
ファンタジーかって思ったけど。
「帰る場所がある」という
余裕さの出来た彼らにとって、
力の抜けた感じが伝わってきて、
これはこれで良かったかな・・・って思った。

 人間は余裕・・と言うか、
逃げ場というものが必要だと思った。
余裕がないと、すぐに追い詰められてしまう。
ソウルにも優しさがあった・・・
とサムダルが思い返すシーンも
良かったかなと思う。
(かなり、取って付けた感はあるけど)

【最高に号泣した場面】
・・・・は、5話なんですよね・・・・。

ギョンテがサンダルの誤解を解くシーンですよね。
もう、ギョンテの優しさが大爆発してて、
泣いてしまいました。

 記者に「サムダルと俺たちを一緒にするな」
と言う所も良かったです。
 純粋な優しいギョンテに、
もっていかれましたね~

そして、アボジの14話のシーンですよね。

久しぶりに、この2つのシーンはティッシュで涙をふきふきしながら観ました。


【納得いかない所】
まぁ・・・・些細な事なんですけど。

チュンギを許した所かな・・・
いや、許すのはいいけど、
何故、一緒に働く??っていうのがね~。
 すぐに人を裏切って、ペラペラ話すヤツ、
また裏切るやん!って感じ。

そして、ジンタル&デヨンの最後が、
もう一つ、中途半端だったかな・・・と思う。
 デヨンの家族に、ガツン!!
として欲しかったわ~。
最終的に、代表を降り立って事は、
あの嫌味な親戚どもが、
代表になったってこと??
 そこで、デヨンとジンタルも働いてるの??
う~ん、分からん。
ギャンギョンウォン様は相変わらず、うまい~!

今日も僕らは欲を出さずに
自分の息の分だけ耐える
そして息が苦しい時には
戻る場所がある

このテーマを、16話かけて、
丁寧に描いた秀作だと思います。
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