jonajona

ツイン・ピークス シーズン1のjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

ツイン・ピークス シーズン1(1990年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

Blu-ray購入。一気見してしまおう
病みつきになる感じがある
一見綺麗でのどかな町の、ドロドロした人間の裏の顔がどんどん見えてくる〜…て話なので群像劇で多くのキャラが出てくるがどいつも画面上裏の顔=本音や汚い顔で出てくるので、逆にホッとする。大概不倫だが悪いことしてるやつらだらけ。みんなそんなもんじゃね?って気もしてくる。たまにいい人らが謎を究明しようとしてて安心する。

毎週終わり方の引きが強い。新しく知らない人間関係がえっ…!?そことそこ?とかペンダントは一体だれが?て。

【序章】

『なぜじっとしてると思う?この町ではまだ黄色の信号が急げじゃなくて待機しろだからね』

☆フットボールキャプテンのボビーと人気者のローラは付き合ってた。ローラは実際は他に相手がいた。優等生ローラはコカインを所持していたらしい。

☆ボビーが(ローラと付き合ってたぽい)彼女の同僚の若い金髪女シェリーと浮気。そのくせローラに本命がいた可能性を警察から知らされショック。金髪女はレオという高圧的なトラック運転手が亭主。ここも不倫。
仲のいいドナとローラの姿、そのカメラを撮る者の第三の存在がこの話のフック。

☆エドとダイナーの女(ノーマ)がお互いに不倫と浮気(エド奥さんと夫ハンクに対して)ここの関係の明かし方があっけらかんとしていて一話のうちに既に関係性がどんどん捲れていく気持ちよさが捗る。エドはガソリンスタンド店主で若者達と親しい。ジェームズの叔父。

☆日陰者のジェームズがローラの真の恋人だったらしいと判明。しかしジェームズ、ドナはお互いにローラという恋人親友がいながら内心惹かれあってたぽい。合流後すぐに熱烈キス。ドナはボビーの親友ハンクと付き合ってるが偉そうでもう嫌い。

地味に、ジェームズ(男)が目を閉じて、ドナ(女)がその彼にキスをするという演出は時代を考えると男女関係のストレオタイプと真逆のもので面白い。ペンダントの片割れをドナが彼を庇って埋めることを提案。

☆町の今は亡き大社長ハッカードの未亡人ジョシが付き合ってるのは保安官ハリー。ハッカードがこの町を作ったと言っても過言では無いらしい。

【?】ローラ母の夢の中でペンダントが盗まれる。

(感想)
一応ドナとジェームズが主人公なのかも?
すでに人間模様が豊富かつ複雑すぎて混乱しまくり。前半ながら見しようとしたのがまちがい…昔の人これを毎週楽しんで熱狂してたと思うとすごい。

電気カチカチしすぎ、なぜかトナカイの剥製がデスクの上で転がってる、丸太と話すおばさん、音のしないカーテンレール開発を目指し続ける眼帯おばさん、インディアンの格好するガキ、アップルパイの話を延々カセットテープに吹き込むFBI捜査官。シュールな笑いが特別で程良く癒しになってる。

【1話】

『悲しくて当然だし悲しい部分もあるけど最高に素晴らしい夢とすごい悪夢を一緒にみた感じなの。裏切ったはずなのに、何故こうハッピーなの…?』

『ああ思い出したぞ、一時が一日のように思われたあの頃…』

☆悪戯好きで助平なオードリーホーンがクーパー捜査官に接近。オードリーはホテルオーナーのベンジャミンの娘。友達ではなかったが兄の家庭教師がローラだったとの事。

ホメット医師の解剖結果で、最後の晩に少なくとも3人と性交してたとわかる。…さ、3人?

☆シェリーはレオの服についた血をみてしまう。時間差でレオもシェリーに服を見られたのを気付く。ちくしょおおお!

☆クーパー捜査官、ジェームズを尋問。ローラは何かに怯えていた。クーパーはチェリーパイとコーヒーに煩い男。

金の半分はどこにある?とレオから親元に電話が。拘置所内で2人揉める。レオに一万渡す予定だったが、ローラの貸金庫に金は預けたまま、らしい。ローラは何に関わってたのか…?

【?】ローラの父は昨晩の乱闘前、バーでビールに一服睡眠薬を盛られたらしいと保安官に打ち明ける。

☆ジョシは義姉の金髪ババアに詰められてて不憫。金髪ババアはホテルオーナーのベンジャミンと不倫と共謀を愉しむ。
あと一つ二つ悲劇が起こればジョシは自ら工場を畳むだろうと言うが、

●ローラの母が気味の悪い長髪の男を幻視する。夢でペンダントが盗まれるのを見たりシュルレアリスム展開が入り出す。

●モルグ(遺体安置所)に赤いシャツの謎の男が入り警備員が追うが消える。

☆オードリーは反抗的だがどうやら父の関心を買いたい気持ちもあってのことらしい。打ち合わせ中に事件の事を囁き台無しにした件をわざと父に話し、もちろん激昂されしょんぼり。

【?】丸太おばさんがクーパーに接近。いつか丸太が口を開くと告げる。あの夜何か見たと。わけわかめ展開。

☆彼女の精神科医ジャコビー先生がローラのペンダント片割れを盗んだ犯人だった。肉声のカセットテープを聴いて泣いてる、特別な関係だったようだ。 終

(感想)
オードリーは悪戯すきの厄介者だけど、愛されたくて悪い子になってる感じがこの世界の中ではむしろ正直なんじゃね?と思えて好きになってくる。
やたらと食事に喜びを見出すクーパー捜査官もかわいい。ニコニコしてるし。相棒の保安官が相棒してて好き。


【2話】

『ドナ、僕たちの行動は間違ってないよ。だって真実だから。いずれこうなったと思うんだ』
『この音楽最高だなあ、夢みたいだよね』
『うちはどうなってしまったの!!』
『いや、朝まで待てなかったんだ』

【new】ホテルオーナーのハッカードの元に弟で厄介者のが殺伐とした家族の団欒にやってくる。ハッカード自身は彼を気に入ってる。パンをむしゃむしゃ、2人で若い娘が集まる町の裏風俗に行く。
真っ赤な売春宿。本エピソードから一気にきな臭さが一気に増してくる。

☆レオとボビーの裏取引。渡すはずの一万ドルがない事できな臭い雰囲気に。しかも!よう考えたらこいつら穴兄弟!気付いてるのかもという緊迫感がすごい…

エドの妻、ムキムキなので旦那に怒りの余り筋トレ器具の金属部分を捻じ曲げる。

●こいつはうまいねえ〜!アツアツだ!と言いながらコーヒーを吐き捨てる変態、クーパー捜査官。保安官ら相手にヘンテコレクチャーが登場。オカルト臭がのんびり強くなる。夢で知った謎の占いによって捜査を進め出す…なんで??

顔と名前がここで出てくるので、一旦関係性の整理ができてくる。
レオとジャコビー先生が怪しいとなんと概ね当たり。捜査方法がこの世界の中では正しいということらしい…なんたる剛腕。

☆ローラの事は嫌いだったがオードリーだったが、ドナとはそこそこ仲がいいらしい。なんやかんや弟の世話をしてくれた彼女が好きな気持ちもあったという。この二律背反な気持ちの混合が『ツインピークス』のテーマなのだろう。

【new】社交辞令に欠ける口悪アルバート解剖捜査官が応援に訪れる。

☆ジョシ義姉の夫婦関係は最悪。妻よりジョシを選んだ旦那は帳簿など仕舞う金庫の鍵をこっそり彼女に渡す。靴をベッドに置くなと義姉が旦那を叱る。ギスギスしてやあねぇ。

☆眼帯おばさんメイリーンが自分本位で愛してる〜♪と言ったりあんた見てると反吐が出る!て言ったり忙しくて大変。これはたしかに浮気もしたくならァ

●で、出た…!!!赤い部屋!
3話目で急に登場。このインパクトは超絶デカい。ここまで丁寧に謎が謎を呼ぶミステリーをやっといて、いきなり言ってる事も起きてる事も訳がわからなすぎる…
赤い部屋と小人のダンス💃
解読したくなる絶妙に意味不明な会話。
ローラに似たお前のいとこ、と小人がクーパーにどう見てもローラを紹介するのだがあれは『ローラをイメージする事で生まれたクーパーの中の虚像』だからいとこ、なのだろうね。面白い夢の解釈。
何かを耳打ちするローラ。異様な世界観。
片腕のボブ。コンビニエンスストアの上に住むマイク。腕が時々ひん曲がるローラ。
ずっと音楽が流れてて、小鳥が囀る世界から来た。なんて最高の言葉だ。

(感想)
町の若い女が働く赤い娼館。夢の中の真っ赤な部屋。今の時代から考えるとのんびりしてみえたが、実質3話にして一般ミステリの枠組を超えた展開の飛躍がすさまじくカルチャーショックを受ける。
面白すぎる。今まで見た物語じゃあないって思わせる力が強い。
外面は綺麗で裏面はドロドロ…というイメージの割には基本的にみんないい人だったりただのバカだったりするのが雰囲気を柔らかくしてて見てて心地よくなってる。

保安官事務員のルーシーが癒し。可愛い


【3話】
『お前ら全員偽善者だっ!ローラがグレてる事なんて皆知ってた!なのに放ってたんだ!誰がローラを殺したか知りたいか!?お前らなんだよっ!!』

『あ〜わしの釣り道具の箱を知らんか?』
『今度ジョシーと私の帳簿を見たくなったら、あんな手間暇かける必要ないわ。男らしく正面切って要求しなさいよ』
『…やっぱり、トラックに置いたか』

(嘘がバレた上で正面切って来いと言われても、ニヤリと笑って本音で話さず嘘をつく。夫婦の絶望的な隔たりと街を象徴するシーン)

『魂はあると思うか?』
『いくつかね』

『誰か、踊ってくれませんか〜?
だれか踊ってくださいぃ〜』

●ツインピークスの町の解釈が独特で寓話的ですげーおもしろい。都会にはない人の死を悼み悲しみ影響を受けるような純真な心の持ち主が多いぶん、光と影でとても邪悪なものもある。ストレンジャーシングスやジョジョの4部の原型というのも納得。

ローラのお父さんとお母さんが完全に壊れてて、でも壊れ方が面白くて正直笑ってしまう。シュールコメディ色が強い。

精神科医が尋問されてる時にやるこのマジック!お爺ちゃんがやっとったなあ!
これで見て覚えたんかな…そんな事ないか

【4話〜8話】
シュールな世界観がどんどん深くなる。
シュルレアリスムの映像化てこういうものなのか。巨人が予知夢を与えたり、腹打たれてるのにジジイがボケすぎてて助け呼べず死にかけたりほんと面白い。普通のミステリじゃ起きないことが起きまくる。
娼館に潜入し出したオードリーが客として オーナーとして来た父親の性接待をさせられそうになる地獄展開は超ヒヤヒヤした。あんな地獄はないぜ…

最後まで行ったら何かわかるかと思ったけど、ぜーーんぜんわからん!!笑
第三の男って、なんこれ!でもおもろい!
ミステリーの形式をとってるものの、シュルレアリスムをやりたいだけという明確な意志を感じる。謎はあくまで興味を持続させるものって丸投げ加減がすき。
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