小川勝広

偽りの銃弾の小川勝広のレビュー・感想・評価

偽りの銃弾(2024年製作のドラマ)
3.9
おもしろいが地味。

サッカーや野球の試合に例えると、
0対0のドローの試合を見てる気分。
巧みな技、締まった良いゲーム。

芝居もうまい、
見せ方もすばらしい(EP2以降は・・)

脚色の難易度が高いコーベン作品にも関わらず、
シナリオもメインプロットの敷き方や、
そのプロットを崩さない、
キャラクターの芝居さばき(シナリオ作法上の芝居さばき)のような細部の設定、
小話の仕掛けもうまい。


具体的に言うと、

登場人物が敵か味方がわからない、
子供たちだけが信用できるプロット展開、

芝居さばきでいうと、
事件を追う警官の若い方、
チョコ味のホエイプロテインを飲んでいる、
これだけで筋トレやランニングのシーン不要、
体力勝負の若い警官、
バディの警官は体調不良(のちのちその理由が、、、)、
キャラ設定を観客に伝えつつ、
本筋を崩さない、
など技術は高い。

が、

ホームランもスーパーゴールもない展開。

加えて、
EP1は色んな事がうまくいってない。
芝居時の目線、所作、
を見せるカメラの位置が不安定。

編集ではどうしようもないだろう。

推測される理由のひとつは、

キャストとキャスト、
キャストとスタッフ、
スタッフとスタッフ、

コミュニケーション不足か。

例えば、
ある登場人物が怒るとき、
大声を出す人?
黙る人?
手を出す人?
キャラクターが決まっていない等、、、、
主役が決まらないとエキストラにまで影響がいき、
銃撃される血液の量にまで影響する事も・・(苦笑)。

本作は、
前述のプロテインのように、
シナリオには細かく指示が書かれているはず。

なので、
EP2以降は見違えるように、
安定してきた。

というように、
加点、減点をしながら、
読書好き、
映画好き、
ドラマ好き、
原作好き、
のひとたちには評価は高いだろう作品。
(鉄オタでいうと、乗り鉄。
乗り鉄だから観ている事が楽しいので最低限の技術があれば楽しんでくれる。)

が、
大スターも不在、
火力はとろ火(重火器無し)、
血はこさじ少々、
カーチェイスも少量、
なので、
低評価になりがちの作品群。
(鉄オタでいうと、撮り鉄のような人たちにとっては期待外れ?)

評論家の人たちは、
こういう地味で低評価になりがちの作品の、
技術の高さを根拠にして、
(鉄オタでいうと、技術鉄?)
もっともっとお宝をみつけてほしい。

一方、
場外ホームラン、スーパーゴールは、
狙わないと生まれない、絶対に。

1カットでも、1シーンでもおもしろいものがあれば、
高評価をくれる、
優しい映画ドラマ好きのみなさんに、
甘えてないで狙わないと・・。

その為に観客のみなさんは、
わざわざ安くないお金と、
貴重な時間を割いてくれている。

倍速視聴は、
観客の問題ではなく、
作る側の問題。