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沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~のdrschizoのレビュー・感想・評価

4.8
追記:最終話まで視聴済み。
残りの2話が本作ならではの醍醐味満載だった。
シーズン2が楽しみ。

連載当時は米ソ冷戦が終焉を迎え国内政治の方も不安定、バブルとその崩壊、オウム真理教なんかもあって、まさに激動の時代だった。
中でも湾岸戦争は“日本の国防と平和への貢献”について国民が真剣に向き合わざるを得ない機会となった。
そして夜中のテレビでは大島渚と野坂昭如が朝ナマで暴れていたw

本作の原作はそういった情勢を随時取り込みながら政治パートにも力が入っていて、単なる潜水艦バトルのマンガでは留まらず、新しい“秩序”を提示する気概を感じた。

最大級の国家のひとつ(ソ連)が消滅し、一方で小さなカルト宗教(オウム)が経済大国をも揺るがす、、、
ならば“潜水艦たった一隻の戦闘国家”もあり得る。
そう思わせるような時流があったように思う。

本作ではその辺の時代背景はどうするのかと思いきや、いきなり液晶モニターとかスマホまで出てきたw
なるほどその方が面白い。

ただ一方で「地球を単一国家にして世界平和」っていう理念が(当時の温度感とは違って)その後の歴史を踏まえると“現代の物語”としてはあまりにも青くさい。

まぁでもその辺りを差し置いても本作は抜群に面白い。
海江田と“やまと”の神々しいまでの活躍ぶりは健在。
局面でのヒリヒリするような駆け引きと操艦技術。
狭い潜水艦の中にいるのにまるで世界を見渡すような俯瞰的視野と洞察。対峙する相手の知性を信頼した上で決断する様が神にしか見えない。
やっぱ潜水艦の戦闘シーンはチート。
このあとの展開(戦闘以外)は現在の世界情勢に合わせたオリジナル要素が増えてくることを期待したい。

ところで余談、、、
竹上総理をアゴで使う政界の黒幕の爺さん、あれは姉歯事件の国会証人喚問で表舞台に引っ張り出されてしまった“永田町の黒幕”こと総研の内河所長をモチーフにしてるはず。
風貌、声質、手書きメモ“100年の計”がそっくり。

数少ない“国産大作”なので応援補正+0.3
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