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沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~のslowのレビュー・感想・評価

3.8
スタイガー「どうせ日本は撃てない」

深町「武器等武器防護のための“武器使用”をおこなう」
速水「……撃つんですね?」
深町「3番5番管、“魚雷戦”用意!」

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今作は映画版に未公開シーンと映画の続きとなる日本政府とやまとの会談+東京湾海戦を追加したもの。
映画としてみると「邦画としては頑張った程度」なれど、TVドラマとして見ると群を抜いたトップクラスの出来。
もしこれが映画ではなく、TVで初放送してたならVIVANTを超えた大きな話題性があっただろう。

一線を超えたもう一つの現実を見届けてるようなリアリティ溢れる国同士の揉め合いには息を呑む。
圧巻の戦闘シーンは言わずもがな。

ただバトルを求めすぎると、寸止めどまりの戦いなので物足りなさはあるが、これをフィクションとして見ずに米国がお飾りの外交を捨てて冷たい本性を表し、日本に対して牙を向ける様と、現実の日本と米国がぶつかるとしたらどういう状況でぶつかるのか、そういった「現実性のある戦い」が本作の見どころ。

映画版はプロローグなので盛り上がりに欠けるが、4話の途中から始まる映画の続きが追加されたドラマのほうが、本編に突入したぶん、面白さが増しており、東京湾で米国の第7艦隊を相手に繰り広げられるいくつもの山場が最終回並みの盛り上がりがあったので映画よりも満足度は非常に高い。

ただ映画の未公開シーンはほんとにカットしてもいいレベルだったと感じたので、映画を見た人は1話から見る必要はない。

本作は同原作者の漫画『ジパング』から犠牲者を極力減らしたくらいでやってる事とキャラの立ち位置はジパングと非常に類似しており、令和版のジパングといえる。
寸止めの戦いにとどまっている『沈黙の艦隊』に物足りなさを感じた方は日本vs米国の“命を散らす激闘”がある『ジパング』のほうがおすすめ。

【さいごに】

プライドの高い米国をあっと驚かせたり、米国の主張を論破する展開が多いかわぐち先生の作品は日本人にとって痛快な作品が多いなと本作を見て改めて感じた。
圧倒的スケールと映画に近いクラスの作風で制作された実写版には感無量。

続きのシーズン2に期待大。
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