たかはた

地球の歩き方のたかはたのレビュー・感想・評価

地球の歩き方(2024年製作のドラマ)
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いろいろドラマみてきたけど、なんか、こんなに裏切りと不誠実を感じたドラマあんまりないかも。。完全に「ドキュメンタリー」として私たちに宣伝しておきながら、実際にはセリフと仕込みと演出に満ちた「フィクション」であったということが、どれだけ視聴者を戸惑わせ、いらぬ倫理的判断(「私はこの『ヤラセ』を見逃すのか?」)を迫り、失望させるか想像すべきだよ。。それとも私がモキュメンタリーの鑑賞作法を知らなかっただけなのか…??
企画自体はそこまで邪悪ではないと思うけど、売り文句を間違えたことで、ほとんどが台無しになっていた。取材や景色や現地の人々、そして本来はドキュメンタリーとフィクションとのズレ?折り重なり?を楽しめたはずの筋書きをも。(売り文句問題は、この内輪ノリ感を含め『ジャパニーズスタイル』(2022)の大失敗を彷彿とさせる)
なんかもはや「我々はなぜドキュメントとフィクションとを切り分けないとこんなに不安なのか」とか考えた方がいい気がしてきた。。



以下リアタイ時メモ
①ソウル編
「オモニ」をテーマに向かった韓国で現地コーディネーターがたまたま母親と生き別れており、その母を探すことになった、そして亡くなっていてカメラの前で号泣みたいなの、ドキュメンタリーとしては暴力的やし、フィクションとしてはちぎられた写真のくだりが本当でも嘘でもやらせ感を消す演出的努力がないし、そもそも「オモニ」という多角的に検討する必要のある重層的なテーマにもかかわらずタッチが変に軽くて(誠実さと切実さを欠いていて)日本による韓国文化の消費が繰り返されているように思える。

②タイ編
アピチャッポンのインタビューは見れてよかった。
森山未來がかつて留学先にイスラエルを選んだことは多くの人が知っているけど、彼が今まで日本におけるイスラエルの文化的な広告塔のようであったこと、去年10/7以降も何も語っていないこと、同10月前後に彼の地での体験を良きものとして語っていることを鑑みると、いま森山未來をニュートラルに見ることはパレスチナでの虐殺を支持する立場に経つことを意味すると思っている。

③サイパン編
松本まりかもしくは松本まりかの役(上述の半端な構造によって判別不能。そのくせパフォーマティブな示唆が得られるわけでもない)が、「どこでも選んで」と言われて「キューバは?社会主義国行ってみたい」と言ったとき「まりか?あんたってもしかして?」と思ったけど、やはりその後も、コロナで開業の日の目を見なかったカジノ跡を見て「この土地にあるべきものじゃないって島が怒ったんですよきっと」で「おお?」。またその後の展開で日本による統治と植民地化を謝罪し、戦跡を訪れて(日本人ではなく)現地の人の声を聞き、サイパンをめぐる自治と統治(日本による、アメリカによる)の歴史を自分の中にしかと位置づけて終わるのは悪くなかったと思う。締め方は例のごとくゆるふわでガックシやったけど。
でもやっぱ、もし「ここ(戦争の証言を聞くシーン)で泣く」みたいな台本があったら最悪やな、とか倫理問題を視聴者一人で考えさせる作りをしてしまっているのは最悪やと思う。

③ニュージーランド編
直太朗って47歳なんすか…??!
たかはた

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