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悲しくてやりきれないのHKのレビュー・感想・評価

悲しくてやりきれない(1992年製作のドラマ)
3.5
亡くなった山田太一脚本の未見の単発ドラマ2本目。
TBS で1992年に放送された作品。
本作も主題歌として使われた楽曲と同じタイトルです。
「悲しくて~」はザ・フォーク・クルセダーズの曲でたくさんの人がカバーしてますが、本作はおおたか静流バージョン(『この世界の片隅に』ではコトリンゴが歌ってたアレ)。

500万円の盗難事件に巻き込まれたOL、ファミレスの店長、小さな印刷会社の社長の三人の不思議な縁の物語。
山田太一作品にしては犯罪が絡んだストーリーで、ラストで犯人も判明して解決という珍しいパターンですが、やはり事件はあくまで背景でメインは人と人との繋がりであり、展開は先が見えずに紆余曲折。

主演の3人は山田太一作品では常連の名取裕子(当時35歳)の他、『Shall we ダンス?』『うなぎ』他の多くの作品でも共演している役所広司(当時36再)と柄本明(当時43歳)。
3人とも悪い人じゃないんだけど多くの欠点も持ち合わせた等身大のキャラを好演。
脇も根岸季衣、すまけい、あめくみちこ、高畑淳子など芸達者が固めます。
犯行現場できっちりと正論を言う警察官を演じた梅沢富美男もイイ感じ。
30年前だから、さすがにみんな若い!

「そんなに?」
「そうだけど・・・」
「まいった・・・」
これぞ山田太一節。

作中のBGMは「悲しくて~」以外は、展開が途中からロードムービーっぽくなったあたりから、「ビバリーヒルズ・コップ」「華麗なる賭け」「シャレード」「俺たちに明日はない」「ターミネーター」「卒業」「雨の訪問者」「追憶」「荒野の七人」など、さながら名作映画音楽集でした。
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