Asino

エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~のAsinoのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

完走したので加筆
話がどこに行くのかな?と思ったことも何度もあったんだけれども、人種的・文化的背景も経済状態も全く違う女性たちの、どうしようもない罪と後悔を引きずりながらも、最終的には許し支え合うことを選ぶシスターフットの話になっていたんだと思う。

良かった点は、雨傘革命の時期の、「変わりゆく」香港の風景が、市井の庶民の暮らしやデモをやってる学生や、そこから切り離されたように見える高級マンションの駐在員とその家族の暮らしまでをつなぎ合わせるように、単なる背景ではなく、ものすごく生々しく美しく撮られていたこと。撮影とてもよかった。
あと裕福な家庭とそこで働く(多くはフィリピンとかからの出稼ぎの)家政婦たちとの関係性が、主軸とうまく組み合わされて様々に描かれていて、そこがメインで見たかったと思ったくらいだった。

正直主筋にはそんなにのれなかったともいえる。
全6話で、どれもクリエイターのルル・ワンが自ら監督しているけれど、1つだけ1時間半のボリュームがある5話が他のエピソードとはすこし雰囲気が違い、圧倒的によかった。この路線で全部貫いてくれたらよかったのに、と正直思った。
4話までだいぶニコール・キッドマン中心で引っ張って、彼女がほとんど出てこない5話がすごく良くて、6話でちょっと強引に「まとめてきた」感があったので、全体のバランスがあんまりよくなかった、と思う。ビッグネーム使ってるから仕方ないのかもしれないけど、3話目ぐらいで飽きて脱落しそうになったのを、どうにか踏ん張ったので。

1/29
楽しみにしてたルル・ワンの新作ドラマ。配信済みの2話まで。

最初の1話は、主人公マーガレット(香港で暮らす駐在員の妻ニコール・キッドマン)と、若い韓国人のマーシーとの間で過去に何があったのかわからないまま、それぞれの今の話が並行して進む。
ただ、1年前に何か「とてもよくないこと」が起き、マーガレットは精神状態が不安定になっているということと、恐らくそれにマーシーが深く関わっていたのだということがわかるだけ。
で、2話でようやく彼女たちの出会いと、「何があったのか」がわかるのだけど。

意図したわけではなくても、ちょっとした不注意で恐ろしい加害者になってしまうことがある。人混みで子供を見失う血の気が引く感じの怖さはよく知っているけど、他人の子供を預かっている間にそれが起きてしまって、そしてその子がそれっきり戻ってこなかったら?想
像するだけでぞっとするけど、これはそれが起きてしまった「その後」の話だ(まあまだ1/3でようやくどういう話なのか、が見えたとこだけど)怖いけど気になる。

経済的に恵まれていて理想の家族に見えるけど本当は?みたいな話にニコール・キッドマン、ってキャスティングは、正直「またか」という気がしないでもないけど。
香港の様々な(古いとこも新しいとこも)エリアの撮影が素晴らしく、駐在員の家族と住み込みの家政婦や運転手といった使用人との関係とか、高級マンションの隣人たちとか、外国で教育を受けた香港の若い富裕層(それこそクレイジーリッチに出てきそうな)と、アメリカの有名大学卒でありながら「友人」のはずの彼らと相容れないマーシーの屈折とか、さらに込み入った話になっていきそうな感じ。

これからしばらく金曜日が忙しいな。
Asino

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