映像の切り取り方とか、
すっごく好みでした。
観ていて飽きないような工夫、
場面の切り替えのスタイリッシュさ。
ちょっとポップな編集が、
殺人とか暴力盛沢山な、
この作品を、観やすくしているような感じ。
テーマとしては、
あまり深読みしたくない作品です。
「殺人はダメだ」と当たり前な事
ではあるけれど、
作品を観ていると、スカッとする。
娘を死に追いやった人の復讐が
行われると、
良かったな~と思う。
人間の正論の奥に潜む、
真の欲求をさらけ出されたような
気分になります。
この作品は、「殺人」は悪い事だという、
その逆説。
人間が持つ「正義」の、その逆説。
それらを、炙り出しているのかも知れない。
・・・・・とはいえ、思うだけで、
実行に移さないのが、
人間だと思うので。
こういうテーマは、自分の感情の中で、
じっくりと楽しめばいい。
ただのエンタメだと、割り切って。
そういえば、昔、アメリカドラマで「デクスター警官は殺人鬼」というものが
あったわよね~。
アレも、同じような感じ。
必殺仕事人にもしかり、古今東西、人々は、
世の不条理への不満を、発散させてくれる作品を求めているのだ。
☆以下ネタバレです☆
しかし、単純に発散させてくれないのが、この作品。
確かに、悪い奴らをぶった切っているのに、
一人は、完全に狂っているし、
一人は、気弱な青年で、もう一つ、その使命感を感じられない。
「悪人」を殺すのにも、それなりの流儀が必要なんだな~と
思ったりする。
でも、そういう部分が欠けているからこそ、
妙なリアリティが作品を引っ張っていく。
❗️やっぱり、ウシク様が凄かった❗️
リアルさの功労者は、勿論、ウシク様だろう。
平凡で、何事にも流されて生きてきたタンが、
ひょんな事から殺人を繰り返し、最終的にダークヒーローになる過程は、
本当に見事だったと思う。
殺人に目覚めながらも、その恐怖に押しつぶされていく様子。
ノ・ビンへその辛さを吐露して涙する姿は、ただの青年のようだった。
本来なら、ちょっとオーバーに演じてみたくなる役どころだと思う。
ちょっと、カリスマっぽく演じてみたくなるだろうけど、
そこを、ぐっと抑えた演技が出来るっていうのが、
流石だなって思った。
タンはナンガムが手に持った銃口を、
自分の頭に向けて、
引き金をひいた。
彼は、本当に疲弊していたし、こんな人生から逃げ出したいと
思っていたのだ。
タンは、普通で、弱い。
そんな彼が、稀有な力を得てしまった不幸。
それを目の当たりにしたからこそ、ビンは自分の命を懸けて、
彼を守ろうとしたのだ。
そんな共感は、最後のシーンでも際立ってくる。
韓国へと戻り、ダークヒーローとして生きていく結末。
彼は悪人を殺しながら、苦しみ続けていく。
ナンガムが最後にタンへ声を掛けた・・・
「いつか、お前は捕まる」その日まで。
多くの人を殺した主人公の行く末は、
完全にエンタメとして生き続けるか、
シリアス流れで死んでしまうかの、どちらかだろうけど。
よりリアルさを求めた本作としては、
非常に、
見事な着地だったと思う。
タンが無罪放免で、
今もどこかで殺人を続けている。
そこに甘さが生じない、凄さ。
これからタンが生きて続けていく事も、
地獄なんだと、その選択に
同情すらしてしまう。
この妙な感情の結末は、
ウシク様が生み出したものだ。
❗️ソン・チョンが強すぎる
そして、一人勝ち❗️
マジ、強過ぎるやろ~(笑)
怖い怖い・・・・。
後半は、この方の存在感が凄すぎて、タンくん、
引っ込んでしまった感じやもんね。
イ・ヒジュン様・・・
40歳代なのに、もう60歳代にしか見えないし、
強い強いって言っても、なんていうのかな~
「それ、ありえへんやろ」っとツッコミしたくなる感じじゃないのよね。
百戦錬磨の強さっていうのかな~??
アクションに、ソンチョンの生きざまが刻まれてるっていうのかな~
糖尿病の末梢神経障害で指先が腐っているのに、
こんなに強い!!
(関係ないけど、あの指先腐っていく感じ、リアルでうまいわ~。
私も糖尿病患者さんで末梢神経障害の終末期を見た事あるけど、
本当に、あんな感じで、最終的に木炭のようになるんですよね)
結局、この作品は、
ソン・チョンの独り勝ちのような気がする・・・
死んだのは死んだけど・・・
最後の最後まで生き延びて、ナンガムに言いたい事言って、
死んだワケでしょう??
しかも、自分を殺した事で、
ナムガム自身は、
警察を辞めたうえに、逃がしたタンが、また同じように殺人をしてる・・・
って、ナムガム、色々と悔やむやん。
しかも、その上、自分の父親がクソやったっていう現実・・・
その父親キッカケで、ソンチョン、更におかしくなちゃったんでしょ?
極端な話、この怪物生み出したの、自分の父親ってね~。
何なら、母親も不倫確定って。
タンも生き地獄かも知れんが、
ナムガムも相当、生き地獄じゃないの?
そんな最後、
私、とっても不服です。
タンは生き地獄でもいいけど、
ナムガムには、そうなって欲しくない。
それならさ・・・
実は、真実は違ってた・・・みたいな展開が良かったわ~。
ソンチョンの思い込みで、父親は逆に、
良い人やった・・・みたいな展開で。
自分のやってきた事は一体なんだったんだ~・・・
みたいな。一瞬でも、自分の生き様を後悔して死んで欲しい。
しかも、
あんな簡単に死ぬとか、許せないわよ~。
❗️一人負けは、ナムガム・・・❗️
ソンソック様のヒゲを、受け入れられるかどうかが、
私のポイントだったけど。
始めは、「ヒゲ~」って思ったけど、意外にいけた。
・・・というか、私の「ヒゲ史上」NO1かも知れない。
・・・というか、今観てる「智異山」にも出てきたけど、
同じ警官の役だけど、まとってる雰囲気が、全然違う~
・・・・ってビックリしました。
タンの能力よりは、ナムガムの「犯人が分かっちゃう」みたいな能力は、
特段、発揮されずに終わったしまったように思う。
つまり、あんまり、活躍してないんちゃう??
部下に偉そうに言う割には、結果出してないやん!!
もっと、ナムガムとタン
この2人をもっと、対峙させて欲しかった!!
もっと、タンを追い詰めて欲しかったわ~
色気もあるし、雰囲気もあるからこそ、
もっと、こう、活躍して欲しかった。
ソン・チョン死んだけど、最後まで、やりこまれた感じなので、
スカッとしなかった。
最終的な伏線回収も、まさかの、ノ・ビンに取られちゃったしね~
ただ、こちらの演技も完璧だった。
特に、父親が殺されて、車に乗り込むシーンは、
胸を鷲掴みにされましたね。
作品全体としては、いい流れできてたけど、
正直、ソンチョンの登場で、物語が分散したような気はします。
そして、悪人には天罰を・・・という部分が、
手ぬるい感じだったので、タンの最後も相まって、
爽快感とは程遠い仕上がりになってるかな~。
8話だけど、これこそ16話にして、
それぞれの対話・対峙が濃厚に描かれていたら、
分散する事なかったかな・・と思う。
ムガムがタンを逮捕すれば、それが1番、
幸せだったかも知れないと思える最後が、
何とも、厳しくて悲しい。
止められること。
罰を受ける事。
謝罪する事。
それらのタイミングを失う事が、
生き地獄なのかもしれないな~
・・・・と考えて、ゾワゾワした。