彦次郎

昼のセント酒の彦次郎のレビュー・感想・評価

昼のセント酒(2016年製作のドラマ)
3.3
広告会社の営業マン内海孝之が仕事をさぼって昼間から銭湯に入り風呂上りにビールを楽しむドラマドキュメンタリー風ファンタジー。原作は『孤独のグルメ』の久住昌之。元々エッセイだったみたいですがコミカライズもされている模様。
話は優しいけど営業課で最下位な内海孝之が仕事で失敗(うまくいくときもある)して誘惑に負けて昼間から銭湯に入りその後に酒を楽しんで上司の電話で会社に戻るというもの。仕事に追われたサラリーマンの憩いがテーマといったところでしょう。同じ作者の『孤独のグルメ』と比較すると
①主人公は勤め人で仕事はできない②銭湯めぐりと酒(食事込)の2本立て③時間が止まって主人公が独白し始める…といった違いがあります。
この内海、真剣に仕事をしてそうで仕事をさぼって酒飲んで直帰しようとしたり、会議の資料のタイトルページだけ集めて上司に提出したり、体洗わずに風呂に入ったり、職場の女子に好かれていてもすげない扱いだったりと、学園モノでみられる不良よりも遥かにタチが悪い気もします。それでも人当たりがいい性格のためか戸次重幸氏の演技によりヘイトが集まりにくいのかもしれません。なぜか真面目に仕事をしている女上司(目覚ましテレビの八木アナ!)や後輩のエース格のメガネの方が嫌な奴に見えるというのが演出の巧妙さといえます。
銭湯あとの酒が旨いんだよという主旨は重々理解しているつもりですがそれでもメインが2本立てというのは視聴者としてはテーマが分散してみえるきらいがありました。妄想的な提言ですが超ブラック会社勤務で罪悪感もないくらいに仕事をサボるクズリーマンの方が痛快だった気もします。
個人的には銭湯紹介のナレーション(石塚運昇)が声の重みと面白味が合って良かったです。
彦次郎

彦次郎