大理の皇宮で突然事故が起こった。公主・段芯瑶（だん・しんよう）の寝室で火事が発生したが、芯瑶は運が良くて死を免れた。 芯瑶の母親である蓉妃は、単純な事故ではないと察し、芯瑶を守るために、宮廷から離れた宋王朝（国名）にいる祖父のところに匿った。蓉妃は国師・高昇維(こうしょうい)と侍女・喜児、剣の達人・史高翔(し・こうしょう)に芯瑶を守るように同行を命じた。芯瑶一行が通天府を通るとき、花魁(おいらん)選抜大会に出会(でくわ)し、不思議な殺人事件に遭遇した。 惜春閣(せきしゅんかん)の花魁である花弄影(か・ろうえい)は不可解な死を遂げるが、目撃者によると、殺人犯は２つの顔を持つ男であると捕吏(ほり)の柳皓軒(りゅう・こうけん)がすぐに事件を捜査し始め、芯瑶も事件解決を手伝うことにするが…。

一番の容疑者は、同じ花魁選抜大会に参加したライバルの玉檀秋 (ぎょく・だんしゅう)だが、この事件と関係があることを証明できる証拠はなかった。 さらに不思議なのは、花弄影(かろうえい)の外傷は致命的ではなく、死亡の本当の原因は中毒だった。手がかりがあったが、捜査は進まず行き詰まった。その後、玉檀秋が部屋で殺された。残したのは、血で書いた「双」という文字だけだった。２つの顔を持つ男が再び殺人を犯したとみんなは疑っているとき、玉檀秋の侍女の子鸢(しえん)は突然宿屋から飛び出して、役所に捕吏の柳皓軒(りゅう・こうけん)が犯人であると告発した。役所はすぐ柳皓軒を逮捕し、審問のために連行した。

子鸢(しえん)の話によると、柳皓軒と花弄影がもともと恋人関係であり、実際今回は、花弄影は花魁選抜大会で優勝して、得た賞金で身請(みう)けして柳皓軒と一緒に生活しようとしていた。花弄影が亡くなった後、柳皓軒は玉檀秋が犯人だと疑って、復讐するために２つの顔を持つ男のせいにして玉檀秋を殺したのではないかと子鸢が言った。しかし、同時にさらに不思議なことが起こった宿屋で花弄影のお通夜を行なっているお坊さん心觉(しんかく)は、花弄影の遺体が突然消えたことに気づいた。手掛かりから芯瑶は２つの事件の犯行手段が違うことに気づいた。犯人の可能性が大きいため、柳皓軒は刑務所に入れられた。芯瑶は何処かおかしいと思って、大理の公主の身分を示して、捜査を続けた。

２つの顔を持つ男が再び女性を襲った。しかし今回は前と違っていた。柳皓軒が玉檀秋を殺した罪で刑務所に入っているので柳皓軒が犯人でないことを立証するためのものだった。芯瑶は事件を解決するために柳皓軒を翌日処刑するお触れを貼り出した。その夜、柳皓軒を助けに来た柳皓軒の仲間は全員捕まった。芯瑶が事件を分析して、実は花弄影が死んではいなくて、中毒で死んだふりをしていた事が分かった。 花弄影は、身請けしても惜春閣のおかみは彼女を手放すことがないことを知っていたので、自由を得るために偽装死を思い付いた。２つの顔を持つ男は、花弄影のお葬式をしたお坊さんの心觉が偽装したのだ。心觉は頭に大きな瘤があり、瘤に顔を描いたので２つの顔を持つ男に見えた。さらに驚くべき事はこの2人は実際の兄妹であり…

芯瑶たちは旅館で前日に一悶着のあった山賊に襲われて、繁花谷(はっかこく)の若主人・杜夏至(と・かし)と彼の随身(ずいじん)である薛然(せつぜん)に助けられ、芯瑶はとても感謝した。夏至たちは芯瑶たちと別れた後、山で大雨に遭遇し馬車は谷に落ちた。夏至は重傷を負い顔が傷だらけに、そして少し経つと顔と手が白い花に覆われた。薛然は馬車の下で亡くなっていた。芯瑶たちは夏至たちを繁花谷に送ることを決めた。芯瑶は夏至の命は救えないと思っていたが、繁花谷の主人・杜霊(とれい)は夏至を生き返らせる治療方法があると言った。

杜霊が二日待てば助かると言っていた。夏至は突然亡くなったが芯瑶は手掛かりから、夏至の死因が事故ではなく、殺されたと判断した。杜霊は芯瑶の能力を知って、捜査を依頼した。夏至を殺した犯人は繁花谷の住人に絞られた。芯瑶は怪しいと思っていた主人・杜霊の部屋に足を踏み入れた。それから芯瑶は姿を消した。史高翔は心配から、高昇維と芯瑶を探しまわるがなかなか見つからない。やっと杜霊の部屋で芯瑶を見つけた。芯瑶は無事で、すべては誤解だった。この花は「屍語花」と呼ばれ、治療効果があり、体の内でうまく成長して花が咲けば、死にかけていても生き返ることができると言うのだった。

捜査は進まず行き詰まったが夏至の実の父親・夏然禧が夏至に、夏至が殺された当日に会っていた事が明らかになり、夏然禧が犯人と同じ左利きの男という事で役人は殺人容疑で連行した。しかし芯瑶は夏然禧の犯行を疑っていた。捜査の結果、芯瑶は夏至が亡くなった日に繁花谷の執事・薛雲(せつうん)が怪我をしていたことが判明し、夏至の爪に薛雲の皮膚組織があったことが解明された。芯瑶は薛雲が犯人だと確信した。薛雲は夏至が自分の息子の薛然を殺害したと思って、夏至を殺したが、実際は彼が殺したのは薛然だった。 夏至たちが谷に落ちる前に、薛然が雨にぬれていたので二人は衣服を交換した。谷に落ちて夏至は亡くなったが、薛然の顔が傷だらけで服の関係で夏至と思い、連れ戻され治療を受けたのだった。

芯瑶たちが石泉(せきせん)郡に到着したとき、高昇維の旧友の鍛冶屋の羅剛(ら・こう)と出会った。2人は話をしていたが、羅剛は突然血を吐き、死亡した。毒殺だった。この事件は役所の宋茅(そうぼう)が担当したが、裁判中に彼の愚かな判断で芯瑶に叱責された。そして、芯瑶は事件に直接介入する事になった。不思議なのは、数日後、亡くなった羅剛が剣を打ち鍛える姿が目撃された事だ。翌日、鍛冶屋にあった将軍剣が鋭くなっていた。鍛冶屋の人たちはとても不安だった。高昇維は、 剣が意識を持って殺人をすることがあるとの噂を聞いて、これは羅剛の剣に魂が宿ってきて剣を作り、殺しに来たと心配した。

翌日、宋茅(そう・ぼう)は密告を受けて、羅剛(ら・こう)の養子である羅時光(ら・じこう)を逮捕した。 宋茅は捜査上の疑問点を無視して逮捕した事で、芯瑶に叱責されすぐに釈放した。芯瑶は手がかりから羅時光を陥れたのは同じ羅剛の養子である石鑫(せききん)と羅剛(ら・こう)の本当の子供である羅匀(ら・いん)と羅彩(ら・さい)の内の一人だと確信した。その後、将軍剣は鞘(さや)から抜けて、羅時光、羅彩をそれぞれ襲ったが羅匀は亡き父から襲われた。芯瑶の捜査によると、羅匀、羅彩、石鑫、3人とも羅剛を殺害した疑いがあると判明した。それと同時に将軍剣がまた事件を起こした。今回は石鑫を斬りつけた。

殺人犯は事前に待ち伏せしていた高昇維によって捕われ、以前の事件はすべて羅時光が羅剛の剣魂に取り憑かれたことにより起こされたことを知った。真実を明らかにするため、高昇維は羅剛の魂を召喚し聞き取りして、芯瑶は他の人を取り調べた。羅匀、羅彩、石鑫は同時に羅剛を毒殺したことを告白し、羅時光に罪を擦(なす)りつけたのは石鑫だった。 結果を知った羅剛は泣いた。 実際には彼は死んではいなく、毒殺されたとき、高昇維によって救われたが、殺人犯を捕まえるために死んだふりをしたのだった。その為、羅剛は腕がムズムズしたので、剣を打ち鍛える姿が目撃されたのだ。死んだ羅剛の魂が剣を操ったわけではなかった。羅時光は剣魂に操られたフリをして殺人犯を誘き出したかったのだ。

当たり屋に騙されて馬車を盗まれた芯瑶たちはお金を稼ぐために、富豪・林枫溪(りん・ふうけい)の家で林の正室の小白九(しょう・はくきゅう)の初七日法要を行う事に。林の側室の桑梓(そうし)は小白九の部屋に行って、幻覚を見た。 亡くなった小白九が現れ、桑梓が怖くて錯乱状態になってハサミで小白九のお気に入りの赤い服を切り刻んだ。枫溪が物音を聞いて部屋に入り、彼女を止めようとして手に傷を負ってしまった。血は赤い服に落ちたが、服は濡れず血を吸収した。執事の来福(らいふく)は急いで枫溪の傷口に包帯を巻いて侍女に服を繕うように命じた。 芯瑶たちが法要を終えると、部屋にいた来福は高い声で「誰か来てくれ」と叫んだ…。

服を繕った侍女が自分の皮膚や肉を服と一緒に縫い、血だらけで死亡した。話を聞いてみると、その服は既に多くの持ち主を殺し、その死に方は衣で覆われた部分は体の血や肉が吸い上げられ干からびた状態で顔などは常人と同じで死んでいた。 芯瑶は怪しいと思って、小白九に関する手がかりを調べるために西湖満楼に行った。 楓溪と小白九はこの西湖満楼で初めて出会った時、恋に落ち、すぐ結婚したが、実際は小白九の心には愛する別の男がいた。妊娠・出産後も変わらず仲が悪かった。そして楓溪は側室の桑梓を迎えた。小白九はうつ病で自殺した。なぜ死因を隠したかというと林家の家訓で自害した者は林家の幕に入れないという事で隠したのだった。

捜査の結果、温陵は喉を守る効果がある甘霖(かんりん)の中に寄生した果復(かふく)によって亡くなった。果復はお酒を与えると特に生命力が上がるようで、温陵は血や肉が吸い上げられミイラのようになった。林家の服を繕う侍女の悲劇は、新しい羊脂(ようし)と服の竜涎香が混ざり幻覚が起きたからだった。 その後、楓溪は小白九の心にある人が自分だと気付き、方言で発音が違って誤解したが、実際は小白九の好きな人はずっと楓溪だった。全ての悲劇が誤解で、枫溪は亡き小白九に申し訳ないと謝るだけだった。

芯瑶たちは普安城(ふあんじょう)へ、引退した老臣・楊忠(ようちゅう)の一人息子・楊哲(ようてつ)の結婚式に参列した。披露宴で鬼火が空から落ちて、人々は怖くて逃げたが、楊哲は鬼火を萱児(けんじ)と呼び、萱児が死んだのは自分の責任で自分の命を奪いに来たのだろうと。そして、そちらに行くから待っていてくれと言った。鬼火が消えた後、芯瑶たちはこの土地で鬼火による殺人事件が起きたことを知った。 楊哲は自分のせいで萱児が死んだという発言に、芯瑶たちは興味を持った。楊哲は萱児に恋をしていたが、萱児はずっと社会的格差が違うのを気にしていた。二人は一緒に駆け落ちをしようとしたが、萱児は約束の場所に来ず、翌日彼女の溺死体が川に浮かんだ。その翌日霊安所にあった遺体が消えた。その後、鬼火を目にする人が増し…

芯瑶たちは楊哲の潔白を証明するために事件を捜査し始めた。高昇維は捜査するうち、鬼火が自然の物ではなく、人為的に作られた物だということに気付く。また、芯瑶は、萱児が溺死した場所が約束をした場所ではないことを突き止めた。 そして、約束した場所と時間に誰か言い争う声が聞こえていた。芯瑶は、楊哲を犯人とおもい鬼火の操作をした駱東離(らくとうり)を誘き出した。東離は顔が醜いため外に出ず、ずっと家に籠もっていた。駱東離と萱児は兄妹であり、楊哲も東離のことを知らなかった。 東離は殺人犯を誘き出すために鬼火を使ったが、楊哲が無実であることを知り、芯瑶に本当の殺人者を見つけるように頼んだ。

芯瑶は鬼火が駱萱児の化身だとして萱児の魂に陰陽の術を使い尋ねたところ重要な物証を探していることを発表した。これにより、ごろつきの吴狗子(ごこうし)が餌に食いついてきた。 吴狗子はその日、確かに萱児を強姦しようとしたが、彼女は強く抵抗し、思わず水に落ちて溺死した。しかし、その場所は楊哲と約束した場所と違った。萱児の持ち物から約束の手紙が見つかったが、楊哲が書いた約束の場所ではなかった。筆跡を比較してみると、彼の父親の楊忠が楊哲の筆跡を真似して、約束の場所を書き変えていた。吴狗子に萱児を強姦させようと金で雇ったのも楊忠で、萱児が浮気性の女に見えるようにして、楊哲に萱児を諦めさせたかった。この事件はここで終わった。

芯瑶たちは大理の天水(てんすい)郡に到着。知事の裴洵(はい・じゅん)が出迎えてくれた。芯瑶は地元住民である王宝(おうほう)の妻が紫草(しそう)山で行方不明になったことを知り、芯瑶は王宝を手伝って一緒に探すことにした。紫草山は薬草が豊富に取れるが霧が立ち込め狼そして危険な野獣がいるという。5人が紫草山に入ると、人の五感を狂わせ幻覚を生じさせる術「混沌の陣」に嵌った。幸い高昇維によって陣からでる道を見つけて解決した。そして、神秘的な村が見つかった。 聞いてみたところ、この村は「東神村」と呼ばれ、ずっと外界(がいかい)と連絡を断ち何百年にもわたって閉じ籠る生活を送ってきた。村長は世襲で「混沌の陣」の術を使って狼から村人を守る責任があった。王宝は妻・阿绿(あ・りょく)を探すため、村長に村を案内してもらい…

天海(てんかい)は、東神村には阿绿(あ・りょく)と似ている自分の妹の天枫(てんふう)という女性がいたが数年前に亡くなったと言った。結局、王宝は東神村で阿绿の居場所を見つけることが出来ず、とても落胆した。東神村は日が暮れると急に屋台が出て賑やかになった。物々交換の夜市だ。又、東神村で宝玉は妻緑の髪結い紐を見つけるが山で拾ったという事だった。芯瑶は山を下って報告すると役所の裴洵(はい・じゅん)も知らない村であった。その後、知事の裴洵(はいじゅん)は東神村に行って、村の人たちの戸籍登録をしようとしていたので、芯瑶たちは再び東神村に向かった。今回芯瑶は初めて気づいたのだが、東神村はほとんど近親婚だった。

高昇維は東神村の住民は近親婚が多く病気を引き起こしやすいと話した。住民の天海は子供の命を守る為、村長に秘薬を分けてもらおうと必死に嘆願したが住民の命を救う秘薬の量が少ないと断られる。そんな時、喜児は村長の秘密の部屋を見つける。そこには大量の秘薬の在庫が眠っていた。その後、喜児、高昇維は村長の不正を知ったことで村長に捕まってしまう。芯瑶と史高翔は喜児、高昇維の２人を探すが見つからない。そしてついに芯瑶と史高翔が住民に囲まれ襲われそうになった時、人質だった高昇維、喜児、天海が駆けつけて村長の不正を暴いた。村の人たちは珍しい病気にかかっていたので歴代の村長は「混沌の陣」の術を使って道を迷って通る人から新鮮な血を手に入れ村の人が病気になった時に彼らに飲ませる様にしていた。

芯瑶たちは開南城に到着。この地域には連続殺人犯が現れ、夜に笛が鳴ると少女が殺される。 そして被害者は皆少女で、殺人方法も同じで窒息死だった。同じ色の服と靴を身につけている以外に手掛かりがない。地元の富豪である徐瑞(じょずい)が事件を知って、被害家族を支援するために惜しみなくお金を寄付した。そして、住民を守るため夜間の見回りを組んで、住民の間で高く評価を得た。しかし、役所の楊和(ようわ)は犯人を捕まえるために全力を尽くしたが犯人は捕まらず、芯瑶に助けを求めた。芯瑶は事件を捜査し始めたが、翌日再び死者が出た。史高翔は今回の事件を若い女性を襲い殺した後にいつも同じ服と靴に着替えさせる行為は余程、執着があり過去の恋心から生じた憎しみの報復ではないかと推察した。

高昇維は濃霧のかかった夜の外出を禁じさせ殺人犯から住民を守ろうとしたが織芸が姿を消した。織芸は監禁され犯人から逃れようと必死だったが役所は翌日、織芸の遺体を発見、芯瑶は大きなショックを受ける。検死結果からは同一人物であるが犯人逮捕の決め手が掴めない。何日も経つのに進展がない。現状を打破する為、芯瑶自ら動いて犯人を誘き出すことを提案した。史高翔の護衛付きで了解された。しかし芯瑶は犯人を誘き出す為、護衛を巻いてしまった。

犯人は芯瑶を連れ去った。犯人は芯瑶を素素(そそ)と呼んだ。彼は精神的に異常があり、いつ芯瑶も殺されてもおかしくない状況であった。史高翔たちは、織芸が殺害されたときの靴底についた赤土の手がかりから芯瑶を探し出し、ついに危機的状況の中から芯瑶を救出し、真の殺人者を捕まえた。 殺人犯は徐瑞(じょ・ずい)の息子・徐彬(じょ・りん)で、侍女との恋を父に反対され、その後、侍女は他の人と結婚し、徐彬は精神障害になった。 侍女は徐彬の笛の演奏が好きだった。それが徐彬の女性に対する愛情表現だった。徐彬は犯罪をし続け、徐瑞は息子の犯罪を止められられないと諦めていたので、被害者の家族を助けるように最善を尽くした。

芯瑶たちは平寧城(へいねいじょう)に来た。「蜃気楼」のように、空に幽霊船が現れ、この地域には幽霊船が人を呑み込んで殺すという伝説があった。 そして、芯瑶はこの地域の物価が非常に高いことに気づいた。原因は役所の赵全(ちょうぜん)が決めた税金が高すぎたからだった。しかし赵全に聞くと増税の理由がハッキリしない。多くの住人が生活苦に陥り子供たちは物乞いになっていた。物乞いの平児が芯瑶の財布を盗んで平児が負傷して稼げなくなったので、盗賊集団の頭(かしら)は山で彼を棄てた。彼を幽霊船に呑み込み殺されたくないため、平児の仲間の子供たちは芯瑶に助けを求めた。芯瑶たちは平児を救うため山に向かったが、彼は見つからなかった。幽霊船でさえも現れなかった”蜃気楼”の出やすい霧の多い日にまた行くことにした。

間もなくして、芯瑶は霧の多い”蜃気楼”の出やすい天候になったので平児を探しに山に出かけた。雷が鳴り幽霊船が出現し天候が最も悪くなった時に芯瑶が姿を消し、役所では赵全も姿を消した。史高翔は手がかりから赵全があやしいと判断し、赵全が使っている伝書鳩を利用して山にある砦を見つけた。一方、芯瑶は軟禁され、同じく捕まえられた雲嬢は彼女の面倒を見ていた。このとき、高昇維たちは砦の近くまで来ており赵元も敵として姿を現した。実際、赵元は砦の副寨主であり、本名は陳碧山(ちん・へきざん)だった。本当の赵元は山の砦を管理するように脅かされていた。陳碧山は芯瑶を人質にとり、高昇維は仕方がなく一時的に撤退した。高昇維は霧を出てくるのを待っていた。霧が濃くなった時が攻撃の好機だと。

濃い霧が出た日ついに、高昇維は攻撃を仕掛けた。不意を突かれた敵は一溜まりもなかった。すぐに降参した寨主(さいしゅ)は”今が手を引く潮時だ。皆を守るにはこれしかない”と言った。芯瑶は、雲嬢(うんじょう)が山の砦の寨主であることを知り、雲嬢はすべての罪とその罰を負おうとし、他の人を釈放するように芯瑶に頼んだ。雲嬢と他の人々は宋王朝の罪人の親族であり、終身労働の罰を課せられていた。 五年前に彼らは宋王朝から逃げ出し、ここに定住したが、土地は不毛だったので盗賊をしなければならなかった。２年前、平寧城に役人が赴任した折、山賊に襲われて、監禁され、山賊に平寧城を乗っ取られてしまい、重税に苦しむ平寧城の住民のお金が砦に住む人たちに渡っていたのだった。