なっこ

王は愛するのなっこのレビュー・感想・評価

王は愛する(2017年製作のドラマ)
3.2
物語の本質は、語り手に惑わされて見失うこともある
これはタイトル通り、王となる世子が本当の愛を見つける物語だと思う。

ふたりの男にひとりの女

三人の関係は友達以上恋人未満の時期にだけ均衡が保たれる
誰かがより深く近づこうとすると壊れていく、正三角形

だからこそヒロインは常に優しい笑顔でふたりの男を見守る位置に自分を置いたのだと思う、これがヒロイン目線の物語であればもっと深い葛藤と逡巡を描けたのかもしれないがそうしないことで、最後までハラハラした恋愛関係と主従関係の美しさをバランスよくきちんと描けたのではないだろうか。

身を引く、ことが最も美しい愛のかたちだ、ということなのかもしれない
愛から身を引く、権力から身を引く、固く結ばれた友情から身を引く、欲を出し過ぎないこと、諦めることで美しい結末を得ることもある。

それにしても家族の不仲がすぐに国際関係に発展してしまう、王と妃そして世子の関係は本当に不憫。それでも彼らが愛を求める等身大の人間として描かれているところに好感が持てる。大義名分を掲げ己の権力欲を隠し他者を煽動して力ある者に近付き操ろうとする輩が本当の悪。

見つめる度に好きになるのに許されない恋というのは切ない。それでも友情の上に忠義は成り立ち、友情の上に愛を育むこともできることを教えてくれる美しい物語だと思う。特に、剣術の覚えもあり聡明でもあるヒロインがピンチになったときに必ず助けに駆け付けてくれるヒーローは心強い。恋愛要素は少なめだけど、主役の3人がとても美しくて衣装も素敵で楽しめるドラマでした。
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