Uえい

THE CURSE/ザ・カースのUえいのレビュー・感想・評価

THE CURSE/ザ・カース(2023年製作のドラマ)
4.5
「ボーはおそれている」と同じく、あるユダヤ人の男に降りかかるカフカ的ブラックコメディで、こちらの方がシニカルでピリ辛で大好きだった。特にオチがぶっ飛びすぎていてたまらない!

主人公はアッシャーというユダヤ人で、ホイットニー(エマ・ストーン)と結婚していた。彼ら夫婦はニューメキシコ州エスパニョーラの再開発を支援していて、それを密着するTV番組を制作しようとしている。アッシャー演じるネイサン・フィールダーはカナダのコメディアンでユダヤ人だ。この人のなんとも言えない渋い顔が病みつきになる。共同脚本のベニー・サフディもユダヤ人で、TV番組のプロデューサーとして作品内に登場する。

この地元支援がジェントリフィケーションとして非難されているが、ホイットニーは心からの善意で行動していて憎めない、だけど段々と薄い考えで行動していることが浮き彫りになる。先住民族のアーティストの支援をしているが彼らの作品の中身を理解できていなかったのが顕著だった。先住民族への搾取を繰り返しているかの様だが本人に自覚がないという皮肉よ。

アッシャーはある黒人の少女から「呪ってやる!」と言われ恐怖する。妻の善意に付き合っているが、それが薄っぺらなことに気づいていて、罪悪感があったんだと思う。そして本当に呪われてしまい、お弁当のチキンが無くなってしまう!笑。アッシャーはユダヤ人だが、それ自体もホイットニーのファッション的に消費されてしまっているのも印象的だった。そして、本人に悪気のない発達障害的な性質から周りの人に段々と嫌われ、ついには親友からも呪われてしまう。

壁だったりとモノ越しのショットが多く、なんだか監視しているかの様な気持ちになる。物語ではTV番組を制作しているがヤラセ的に誇張していて、それを撮影するこのドラマ自体も誇張していますよというメッセージにも感じた。ちんちんが小さい(ここ大事なシーンなのにモザイクなのありえない!)ことに悩むアッシャーが自分をよく見せようと、ギャグを学んだり、男らしくして有害な男性性を発揮しようとするが、この物語のテーマが誇張なのかもしれない。ただ、現実をネガティブな方向に誇張するともいえる呪いだけが真実なのはとんでもない皮肉だ。
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