デルタ

ドライブ in ウクライナ 彼女は「告白」を乗せて走るのデルタのレビュー・感想・評価

3.5
爆発音が日常生活に浸透し、恐怖が空気を切り裂く世界、戦時下のウクライナ。
セラピストのリディア (Anastasiya Karpenko(アナスタシア・カルペンコ)) は、自身の妹の喪失と大きな精神的苦痛を経験。
彼女は、希望と安全を必死に探している人々を助けるため、爆撃を受けた街路を進み、望む場所へと送り届ける。
リディアの車に乗る人々の物語を通して、彼女の苦しみや、揺るぎない意志と強さを見る。

シリーズが進むにつれて変化する登場人物たちは、戦争をますます内面化させていきます。
自分自身から逃げたい人、愛する人を安全な場所に連れて行きたい人。
自分や家族の命に対する遍在的な恐怖に加えて、
蔓延する汚職や富の追求など、戦前のウクライナ社会の不満や、社会の支柱が徐々に解体していく様子も描かれており、見応えのある作品となっています。

1話目は、戦争難民となる姉妹について描かれているのですが、互いに大切な存在でありながらも、戦時下にあっての複雑な感情などは、シリア難民を描いたNetflix映画『スイマーズ:希望を託して』を彷彿させるものがありました。
鑑賞前に、2014年のウクライナ東部戦争(ドンバス戦争)について知っておくと、ストーリーがより理解しやすいと思います。
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