ナーオー

フォールアウトのナーオーのレビュー・感想・評価

フォールアウト(2024年製作のドラマ)
5.0
"実写化作品の歴史に残る大傑作"

『フォールアウト』シリーズはワシントンD.C.を舞台にした3、モハべ砂漠及びラスベガスを舞台にしたニューベガス、そしてボストンが舞台の4をやったことがあります。特に3とニューベガスは人生を変えたと言ってもいいくらい思い出があるゲームです。

だからこそ製作発表時は嬉しい反面、『フォールアウト』らしい毒っ気がカットされた単なるSFアクションになるのでは?という不安もありましたが、最初に公開された予告を見て、そんな不安は吹っ飛ばられました…

そして全8話からなる本編は、想像を遥かに超える… 『フォールアウト』の実写化として、これ以上の出来は考えられない。ゲーム原作の実写化作品といえば、最近ではHBOの『ラスト・オブ・アス』が印象的。あちらも原作を超えるほどの大傑作でしたが、個人的には本作『フォールアウト』こそゲームの実写化作品の最高傑作だと思います。

まずは『フォールアウト』の世界観を完璧に再現されており、衣装や武器、パワーアーマーといったお馴染みのアイテムだけではなく、核シェルターVaultの細部の細部に至る全てを完璧に再現。感動で少し涙が出てしまったほど……

これだけでも充分合格ラインですが、本作はそれだけではなく、『フォールアウト』らしい物凄く悪趣味だけど皮肉たっぷりのらしいブラックユーモアまでもが忠実に描かれており、倫理観が欠落した企業と行き過ぎた商業主義に支配された世界。それを面白おかしく、でも鋭く批判的なフォールアウト精神をしっかりと原作ゲームから受け継がれていたところが凄く良かったです。

Vaultで生まれ育った主人公ルーシーを演じたエラ・パーネル。来年のエミー賞やゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされること間違いなし。この絶妙な"フォールアウト顔"。そして異常なほどのポジティブ精神。見方を変えれば完全なサイコパスという『フォールアウト』のノリを体現した見事な主人公でした。性に対して物凄く積極的なところも面白かった…

ゲームお馴染みのハイテク中世騎士集団"BOS"に所属する2人目の主人公マキシマスを演じたアーロン・モートンも魅力的。タフな人物かと思いきや、本作のコメディリリーフという役回りで、何度も笑わせてくれました。

そしてグールの賞金稼ぎクーパーを演じるウォルトン・ゴギンズ。彼を知った『プレデターズ』やタランティーノの『ジャンゴ』や『ヘイトフル・エイト』だったこともあり、品のない悪役という役柄が多い汚れた名脇役というイメージでした。しかし本作では『バビロン』のブラッド・ピットのようなベテランハリウッドスターとしての品格と哀愁。ウォルトン・ゴギンズらしくないキャラクターではありましたが、個人的には本作で一番好きな登場人物。核攻撃から200年後、
グールと化して生き残るためには手段を選ばない人物となってからの演技も見事。来年のエミー賞とゴールデングローブ賞のノミネート、受賞を期待したい。

本作は監督と脚本を務めたジョナサン・ノーランとリサ・ジョイ。『ウエストワールド』や『レミニセンス』など世界観の作り込みが素晴らしい、この二人の集大成。

特にノーランが監督を務めた第1話。
脚本家出身ということもあり、細かい演出がめちゃくちゃ上手い。Vaultにレイダーと呼ばれるヒャッハーな集団が紛れ込み、徐々に徐々に おかしい空気になっていく過程が見事。個人的に好きな演出は実はレイダーだった男がルーシーがセックスしたあとに、カーテンでペニス拭く という最低過ぎるところ笑

一作品としてのクオリティはそんなそこらの映画を余裕で上回る、とてつもない傑作だと思います。

ただ『フォールアウト』独自の用語や歴史などは特に説明もないまま物語が進んでいくので原作を全く知らない人からすると少し難しいかも。でもドゥニ・ヴィルヌーブの『デューン』やそれこそ『スターウォーズ』もいちいち詳しい説明をせずに成功しており、逆に説明ばかりだとリンチ版『デューン』のように不細工な作りにもなりかねない。

なので 説明がない=失敗 と言うのは間違っていると思います。

シーズン2の製作も決定したことも良かった。

今回のシーズンはとても面白かったけど、クリーチャーとの戦いが少なかったことは少し残念だったのでシーズン2ではスーパーミュータントやデスクローが登場して欲しい。

最後にはゲームファンへの最大のサプライズまでも用意してくれており、シーズン2の舞台となるであろう"あの場所"。

フォールアウト シーズン2 in ニューベガス

が楽しみすぎる!!
ナーオー

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