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私のトナカイちゃんのcrispのレビュー・感想・評価

私のトナカイちゃん(2024年製作のドラマ)
4.2
単に「ストーカー怖いね」って話じゃなくて、なぜ嫌なのに完全に離れられないのか、というストーカー以外の問題にも通づる「人間の複雑さ」にフォーカスされてて面白かった。
DV彼氏から別れられない、お酒をやめたくてもやめられない、ダイエットしたいのに暴食してしまう、etc...
人間は、ダメだ!いやだ!と思ってるのに、相反してそれをすごく求める性質もある。これが本当に難しいな、と思う。
やめたいんならやめればいいじゃん。
ほんと、その通りで正論なんだけど、きっとやめられないのは根底で、それに救われてる部分もあるんだよな。
このリチャードにとってのマーサのように。
何かの依存症とすごく似てる。

暴飲暴食はもうしないぞ!と思って、そういう食べ物は避けるようにすればするほど、それが気になってきてある日それが爆発してまた暴飲暴食してしまう。そして自暴自棄になる。負の連鎖。
リチャードも、レイプしてきた奴やマーサを、憎んだり遠ざけようとすればするほど、ある日それをすっごく求める自分が爆発する。
遠ざけるからダメなんだと思い、逆にすごく近寄ってみたり。そうやって、なんだかわからないこの苦しみ・囚われから解放される方法が見つかるんじゃないかって、いろいろ試して試行錯誤する気持ちも、なんだかわかる気がした。

この「人間の複雑さ」部分にしっかりフォーカスするのはあんまり見たことなかったので、すごく興味深いドラマだったなーと思う。暗いけど。笑


-----------------余談-----------------------
実話を基にした、ってことは冒頭でも言ってたから把握してたけど、
この主人公リチャードって、本人なんだ、!!って見終わってから知った。本人が、実体験を演じてたんだ...ほお...。
総指揮官、脚本も自分なんだね。ほお...。
ってことはあのネタも実際あんなネタやってるってことなのか...な?
結構ネタシーン見るのしんどかったけど、演じてるからしょうがないよね、と思ってたけど、ご自身のネタ、となると見方変わる(笑)

物語とは関係ないけど、彼は痩せすぎて貧相に見えすぎて、なんとも言えなかった。だからすごく困難な窮地に追い込まれてる感、売れてなくて生活苦しい感はすごく表現されてた。役作りなのかそもそもそうなのかはわからないけど。

売れてないコメディアン、俳優、そういうのって万国共通で同じような雰囲気出るんだなあ、と感じた。何とも言えない、しみったれ感。
それがロンドン、エディンバラ、スコットランド、あちらの気候・天気にすごく相まって、ずっと見続けると鬱になるだろうなwと感じた。
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