岡田拓朗

下町ロケットの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

下町ロケット(2015年製作のドラマ)
4.0
池井戸潤原作×八津弘幸脚本(陸王と同じタッグ)ということで、同じように中小零細企業が、自らの夢とよりよい社会のために、大企業などの圧力に屈しずに力を合わせて奮闘していく物語。

陸王よりも規模感が大きいのと、自分とやっていることが畑違いすぎることがあり、リアル感は感じずらかったけど、その中でも、緻密な構成で十分なリアリティを感じられて、見応えもありました。

経営者、技術者、弁護士、ジャーナリスト、医者など、多様な観点から正義とそれを脅かすものを描いていく展開が素晴らしかった。

こういう作品を見ると毎回思うことが、なぜ社会のために尽くそうとする人が、自らの利益を考えている人たちに食い潰されようとされてしまうのか。

サラリーマンが上の立場に、出世云々の問題で反抗ができないという描かれ方が多いが、昨今は転職や転職によるキャリアアップもできるようになってきているので、この辺りはひと昔前よりはダメなことはダメを伝えることの覚悟の大きさはマシになってると思う。

業界が違うからこの辺りはよくわからないが、医療系の領域とかに関しては、まだまだ癒着とかが蔓延ってそうなイメージがあるけど、実態はどうなんかなー。

今作はそんな現実を描きつつ、結局最後は正義が勝つ、という展開に持っていくまでの一筋縄ではいかない感じ、少しずつ階段を登り、三歩進んで二歩下がりながら進んでいき、大切なことを訴えていくのがよかった。
こういうときに会社のために嫌われ役を買ってでも、言うべきことを言える社員が陸王のときもそうやけど、大事なんだなと感じる。

想いは行動と一致するときに、様々な人の心を動かし、行動さえも変えていき、味方が徐々に増えて、大きい力を発揮する。
こういう流れは、誰かのために本気でやってるからこそ生まれるものなんだなというのを改めて。

また自分とは全く無縁の技術者の世界をしっかりと見ることができたのも個人的にはよくて、純粋におもしろかった。
技術は嘘をつかないってかっこよすぎるし、こういうの見てるとわくわくする!

技術者としてのプライドや難題に立ち向かっていく姿など、他の部分に活きてくることも多く、長丁場だけど観てよかった。

それ以外にも失敗から次を見出そうとする考え方と姿勢、技術者の命の重さに対しての考え方や本気度など、色んな知るべきことを知れた。
仕事は何のためにすることが、本当のやりがいに繋がるのか、も教えてくれる。
ガウディ計画とロケット計画、結局二兎を追って二兎を得ていくのが素敵すぎました!
岡田拓朗

岡田拓朗