ゆりな

昨夜のカレー、明日のパンのゆりなのレビュー・感想・評価

昨夜のカレー、明日のパン(2014年製作のドラマ)
3.8
同じ脚本(原作)ということもあるけれど、どこか「すいか」の雰囲気を持つ本作。10秒先のセリフが普通に予想だにできない面白さ。1話がバリューありすぎて、長く感じた。(褒め言葉)

原作もずっと気になっていた本作。純粋に料理がおいしそうで「かもめ食堂」とか、フードスタイリストの飯島奈美さんが好きな人にも刺さりそう。
でも浮かれたおしゃれ食卓のドラマではなく、本作では「食べることは生きること」であり、死生観について考えさせられる。

たわいもないことでキャッキャして、シュウマイ食べながら瓶ビール飲むテツコ(仲里依紗)&ギフ、最高!
「旦那・息子がなくなる」という同じ辛い思い出を共有している2人は戦友のように思えた。気が強い物言いのテツコが仲里依紗というキャスティングもよかった。
「パン(パン屋)」は印象的で、カレーは一度しか出てこず、むしろ仏壇にお供えしている白米が心に残った。

さ〜〜っと進んでいくかと思いきや、脇役の方がパンチが効いている。テツコのことが好きで個性的な岩井(溝端淳平)も最高だし、おばさん(もたいまさこ)も最高。

7話全部を見て。主題歌がプリンセス・プリンセスの「M」で「いつも一緒にいたかった」と始まるけれど、変わらなさそうに見えて、変わらないこと・生活なんてないんだなと実感した。
すごく季節が経ったように思えたけど、夏の期間の話だったんだなぁ。今見られてよかった。

以下ネタバレ


・テツコが泣き怒りしながらパンを頬張って「いつ死んじゃうか分からないんだからね」と言うのも、遺骨を持ち歩いてるのも、なんか分かるんだよね。
その人にしか理解できない思い出やおまじないのような出来事は、死者と結びつくとより色濃くなる。そのルールも想いも、どんなものであっても他人が介入できるものじゃないんだよ〜〜!(急な鬼語り)
だからこそ大切にしていたもの(遺骨)とのお別れはグッと来た。

・日本ならではのお盆のシーンもコメディなのに泣けた。「夢で逢えたら」を歌い、夢でも幽霊でもいいから会いたい気持ちが痛いくらいわかって目の奥がツーンとなった。
ゆりな

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