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POSE/ポーズ シーズン2のKSのレビュー・感想・評価

POSE/ポーズ シーズン2(2019年製作のドラマ)
4.5
シーズン1以上に、実際に起こった差別運動や事件など具体的な事象を会話の中に盛り込んでいる。これは書籍などに書かれているそうした差別の歴史がドラマという媒体を通すことで、“その時代に生きていた人たち”当事者たちの語りとして甦らせる事に成功していると思う。

第1話で論点出しをして、その後それを一つずつゆっくりと掘り下げていくため、人によっては動きが足りなく感じる場合もあるかと思うが、この部分がある事で、ラストの第10話での主張(ボールルームにおいても、男目線による女性の品定めの問題があるという提起から、性別とは何か、性別における生物学的ではなく、後付けの社会的な側面を浮き彫りにしている。)が理解できる構図になっているため、間も含めてとても大事だと思う。

男性目線による女性の品定めという問題提起は、エンジェルを通してずっとこのシーズンを通して描かれており、弱者の足元を見て権力を行使する構造は、モデル業からセックスワーカーまで常に付き纏っているという描写がひとりの登場人物を通して描かれる事でより、その構造を浮き彫りにしていると思う。


そして、“ヴォーグ”をはじめ、カルチャーとして消費されきた歴史を振り返りながら、近年、市民権を獲得するようになったLGBTQといった言葉など、いまの人権を獲得する動きが過去と同じようにカルチャーとしてだけ消費され、差別が温存されることへの危惧が込められていると思った。

そうした中で、第9話での会話にあった、“悪口と褒め言葉を入れ替える”というセリフなどは、トリックスターやヒップスターというアメリカのエンターテイメント史におけるゲームチェンジャーを思わせるセリフで、LGBTQの視点からヒップホップを見たとき、オッド・フューチャー(Syd、Frank Ocean)などの2000年代後半から顕著になり、最近ではLil Nas Xなどを示しているのかなと思った。
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