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POSE/ポーズ シーズン1のbibooのネタバレレビュー・内容・結末

POSE/ポーズ シーズン1(2018年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

とにかく色んな人の”愛してしまった”が交差する話。
レーガン政権が何年もの間、何万人と死んでいく中でエイズのことに言及すらしようとせずワクチンもかなり後になってから対応が始まった史実とか踏まえると、今作の登場人物たちが必要以上に苦しんでるとしか思えなくて辛い。エイズの薬がありさえすれば、人々が味わった苦しみはどれだけ減ったことだろうか。得体の知れない感染症への恐怖と患者への差別はコロナ禍でも起こったことだから今見るとやけに登場人物たちの感情がわかって辛い。と同時に変わらない人間に腹が立ってくる。

キャラクターたちと同じ共通点の俳優が演じるからこそ本作は完成できたのだと思うし、もし本作がシスジェンダーの俳優だらけだったらと思うと具合が悪くなる。10、20年ほど前であればそういう制作もありえたと思うからこそ。主演のMJ・ロドリゲス自身がブランカでありデイモンのような経歴で、インディア・ムーア演じるエンジェルもしかり、2016年の段階で既に脚本はあったらしいが、キャストから聞いた話をもとにある程度当てがきをしている部分もあるのではと思った。
ボールカルチャーというものを初めて知ったけど、村社会のような結束というか繋がりが深く、特に長年の友達同士であるブランカとエレクトラや、ブランカとプレイ・テルのぶつかり合いながらも支え合うエピソードはとても友情を感じてグッときた。特に6話のエイズキャバレーのエピソードは泣けた。ブランカの歌声がまた聞きたい。

ただ、翻訳の関係かもだけどめちゃくちゃつき離して罵ったと思ったら次のシーンでは許すようなことを言っていて辻褄がつかめないところちょいちょいあって、何度か「突然?!」とは思った。

あと保守派にはない柔軟さがあるかと思いきや割と争いの理由が堅いというか厳しい面もあり、物事を0か100で言い合ったり猪突猛進型なのも少し気になった。けど、貧困世帯は猪突猛進しないと掛け合ってもらえないこともあったんだろうし、ドラマの時代背景もあるだろう。アル・B・シュア!のMVのバックダンサーに抜擢されたエピソードとか、個人的にはキャスティングのほうが逃したらいつチャンス巡ってくるかわからんし、学校に通う方が後からでもできるのではと思ってしまった。昔のアメリカの奨学金制度は厳しかったりしたんだろうか。

あと、一度薬物売買で追い出されたパピだが、彼がハウス内でどんだけ信頼を得ていて良いやつだったのかがイマイチわかるエピソードが無くて、バレて許しを乞うたかと思えば一瞬で逆ギレしてライバルチームに寝返るし、信用ならんすぎて出戻りがあんまり腑に落ちなかった。

キャンディーは認めてもらおうと必死なだけなのに終始バカにされすぎてて辛かった。

あとアバンダンスに初めてブランカが勝った時以外、スコア発表のドキドキがもう少し欲しいと思った。

エンジェルのメイクとファッションが美しくてかわいい。エヴァン・ピーターズが出てたのも熱かった。スタンのような男ってなんで本家とうまくいってない時に決まって浮気相手と会うのかな。冷静に向き合った奥さんよりも号泣してどうすんねん。こういうあえて手術してないトランスジェンダーを狙う白人男性が当時本当にいたってことなのかな。
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