こたつむり

警部補 矢部謙三のこたつむりのレビュー・感想・評価

警部補 矢部謙三(2010年製作のドラマ)
3.5
★ よし、分かった!いや、分からない
  人生はその繰り返し 
  寄せては返す波のよう

『TRICK』が面白かった要因。
それは脚本や演出も然ることながら、登場人物の個性と役者さんの存在感が見事にマッチしたからだと思います。仲間由紀恵さん、阿部寛さん…山田と上田はこの二人しか考えられません。

そして、生瀬勝久さん演じる矢部謙三も同じ。
何しろ、他の作品で見掛けても「お、矢部だ」と言ってしまうほどにインパクト大。勿論、真面目な役も味があって素敵なんですけどね。喜劇が最も似合う役者さんだと思います。

だから、本作が面白くないわけがないのです。
惜しむべくは、実際に推理する庶務係(鈴木浩介さん)の存在感が弱いことですが、これは仕方がない話ですね。矢部謙三のインパクトを凌駕するには“飛び道具”を用意するしかないのですから。

あと、嬉しいのが『TRICK』とのリンク。
登場人物から細かいところまで、本編を知っていれば口角が上がるネタが仕込まれているのです。本作は単独で成り立っていますが、本編鑑賞後に臨むことをオススメします。少なくとも1stシーズンは押さえておきたいところ。

ただ、低予算が透けているのは仕方がない話。
地上波放映時は深夜帯の枠だったんですよね。だから、ロケに行くのだって大変なのです。そう考えると本編だって低予算に見えてもお金が掛かっている…と分かりますね。

あと、ミステリ的な部分も気軽に捉えるが吉。
正直なところ、謎解きがメインではないですからね。あ、でも、最後の事件は前後編に亘る尺なので、それなりに楽しめると思います。僕も×××は予測できたけど、●●●のほうは予想外でした。

まあ、そんなわけで。
『TRICK』本編で矢部謙三が好きになったら、必ず観ておきたい作品。色々と物足りない部分もありますけど、エンディング曲が流れると許せてしまうのも矢部謙三の魅力…ってこれは楽曲の持つ切なさに騙されているのかな…?
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