竜平

LOST シーズン6<ファイナル>の竜平のレビュー・感想・評価

3.8
とある島にまつわる「謎」とそれに関わることになる人物たちの姿を描く、J・J・エイブラムスが贈るSFミステリー的ドラマシリーズ、そのシーズンファイナル。全17話。

もう1話目から最終回みたいな雰囲気を醸し出しつつ、もちろんそれでは終われないシーズンファイナル。ここにきて真田裕之が登場。がっつり日本語もしゃべってたりして日本人からしたらなんか嬉しい、とまぁわりとすぐに離脱してしまうんだけどもね。そんでファイナルでも相変わらず絡み合う人間模様。「ジャック」も「ケイト」も「ソーヤー」もここにきてまた初めの頃のような性格が見え隠れしてきて、成長を描くような物語でないのは逆に新しいというか現実的かもしれない。根本は変わらず、いつまで経っても自分勝手な男は自分勝手なままだし、ズルい女はズルいままだし、ね。いやしかし、シーズンファイナルにしてなんとも異様な内容になってるのは事実。それはどっちかと言えばわるい意味でなんだけども、これまでにあったサバイバルともミステリーともヒューマンドラマとも、はたまたSFとも違う、ファンタジーと言うべきか、まさかここに来て若干ついていけなくなるとは思わなかった(笑)。構成としては、このシーズンで現在と共に差し込まれるエピソードというのが「島に来なかった未来」的なもの。これは別で存在する並行世界なのか、それとも夢や幻みたいなものなのか、謎すぎて確実にこんがらがる。ただ二つの場面が時折リンクしたりする演出はなんともニクい。個人的には「ベン」を描く第7話、これまでの彼を散々見てきたからこそちょっとグッとくる内容だったなーなんて。あとSFパート担当(勝手にそう呼んでる)の「デズモンド」や「ダニエル」あたりが絡む話は毎度おもしろい、とまぁこれは自分の好みもある。そんで久しぶりの人物の登場にはやっぱりテンション上がってしまうよねって話。

全部見終わった今、というか中盤あたりでも感じたけども、単純に前半の展開は丸々必要なかったんじゃないかなーとかもまぁ、ある。そんでやっぱりラスト付近とその結末、これは賛否両論あると前々から聞いてたけども、なるほど、よくわからない。その後ネット上にある考察をたくさん読んで、なるほどおもしろい、ようやく理解というか納得、というとこに至った感じ。恐らく「答え」は濁していて、観客側に想像させる余地を与えてるのはめちゃくちゃ見て取れる。そんなこんなで謎が謎のまま終わってしまってる部分は正直あるし、モヤモヤの残るところもちょいちょいある。けども総評として、これだけ続いて、恐らくストーリーの修正やら引き延ばしやら、また結末の模索やらもきっとあっただろうに、それにしてはよくまとまってるのではないかなと。何よりもオチがどうであれここまで存分に楽しませてもらったから俺は満足。あとこんだけがっつり長い海外ドラマを制覇したのが初めてだったもんで、すべて鑑賞し切った自分をとりあえず褒めてあげたい。しばらく海外ドラマはいいや(どーん)。長期的な時間の余裕がある人にはぜひ一度見てほしい良作ドラマシリーズ、これにて完。お疲れした。
竜平

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