真栄田

仮面ライダーWの真栄田のレビュー・感想・評価

仮面ライダーW(2009年製作のドラマ)
4.0
『探偵物語』×『仮面ライダー』
ミステリー×変身ヒーローの新機軸!

ディケイドに至る十年間で極限までゴテゴテしきった平成ライダーを
一度原点に還り再定義した、平成第二期の幕開けを飾るに相応しい傑作!!

ハードボイルドに憧れる主人公・左翔太郎のファッションはあからさまに松田優作が演じた名キャラクター、工藤俊作へのオマージュに溢れ、使っているデスクまで引き継いでいる
更に服部刑事とその部下松本、刺青者やダンディーを思わせる個性豊かな街の住民達迄登場し、製作陣の『探偵物語』へのリスペクトが随所に見受けられる

主人公の相棒の名前は工藤のキャラ付けに多大な影響を与えた名キャラクター、フィリップ・マーロウが元ネタのフィリップ
そして、二人が心と身体を一つにする事によって風を司る街・風都を護る、仮面ライダーWへと変身する!
そもそも初代仮面ライダーが風力というクリーンなエネルギーで以って、公害を撒き散らすショッカーと闘う本郷猛と一文字隼人のバディ物だった事を振り返ると
正に初代のTVシリーズへの原点回帰と捉える事が出来、
更に石ノ森章太郎による原作漫画の『仮面ライダー』の中盤で本郷猛が脳だけの存在と成り、意識を二号ライダーに投影する事によって二人で一人のヒーローに成る展開を踏まえれば今作は石ノ森版にまで言及していると考える事も出来る

又、
主人公の師匠役に松田優作の盟友、吉川晃司を据え、
その演じる役名に優作の代表作の一つである遊戯シリーズの主人公、鳴海昌平をもじった鳴海荘吉という名を使う辺りにスタッフの並々ならぬ拘りが感じられた
更にその上、変身後の姿を仮面ライダースカルという
仮面ライダーの没デザイン案である髑髏をモチーフにしたダークヒーロー、スカルマンへのオマージュを込めたデザインにする事により
デザイン面における原点回帰まで試みられたと推察出来る

最後に
番組中盤から登場する、所謂二号ライダーのアクセルについてだが
Wが一人で初代の一号と二号を体現しているのであれば
当然その場合の二号ライダーとは
昭和シリーズの二作目の一号ライダーに当たる仮面ライダーV3がモチーフとなる
それ故に彼のマスクは赤く、その闘う目的は父と母と妹の復讐になるのである!

以上、『仮面ライダーW』に対する自分なりの見解なり考察なりを込めた評論でした

追記

仮面ライダーWのデザインが分かりやすくキカイダーっぽいのも石ノ森イズムへの回帰を思わせるっすねぇ
あと
シュラウドのデザイン的なモチーフは絶対『女囚さそり』!
ついでに
中島かずき脚本回の34話のラストはモロ『探偵物語』のopのオマージュやで!
真栄田

真栄田