狩野義弘

侍戦隊シンケンジャーの狩野義弘のレビュー・感想・評価

侍戦隊シンケンジャー(2009年製作のドラマ)
5.0
「真(まこと)」がテーマとなる
戦隊シリーズで一番、というかヒーロー映像の中で一番好きな作品です。作品世界の基本となる文字力(モジカラ)と、秘伝ディスクや書道フォン等のガジェット、(お約束で登場する)ロボがきちんと噛み合っている設定(文芸っていうのかな?)が先ず凄い。
1話から気付かれない様に巧に伏線を張りまくっている脚本は、最終回に向けて怒涛の回収を魅せるまさに神展開(なんていう安い言葉じゃ表現できない驚きの作劇)!
2周目(全話見て響いたら是非)で登場人物各々の心情を確認するのが楽しすぎる。
頑なに一人で立ち向かうのが信条の殿様レッドを演じる松坂桃李さんは、初主演故の緊張感や微妙な噛み合わなさが役柄と奇跡のシンクロで好演、役と共に成長し周りと打ち解けてゆく感じが最高!
戦隊の家臣達、彦馬さん、黒子の皆さんいいキャラです。
個人的に一番好きなのが追加戦士のゴールドで、幼少期の約束を独力で達成する努力と才能と泣かせる義理堅さを併せ持った源ちゃん。(私の中では)星野源を超える源ちゃん(なんのこっちゃ)です!
敵役の、血祭ドウコク(慟哭だよね)のデザインが素晴らしく強そうで怖い(声優さんもいいね)のもポイントです。

世界観の作り方がきちんとしていて、玩具アピールもかなりうまい具合に取り込んで、トイのギミックも使いこなしながら、作劇が破綻しない様に対応しているところは頭上がりません。

最終回に至るまでの侍戦隊各々の心情の積み重ねがとても丁寧で、エンドゲームにおけるキャップの「アッセンブル」を凌駕する感動を何度も味わえます。どのキャラもその場で出来ることを精一杯やるだけなんだけどやぶれかぶれでもなく考えなしでもない所が良いです。
全49話1回20分として16時間越え、映画7〜8本分と考えれば納得の内容なのでしょう。

ネタバレ避けながら書くの大変だから最後にちょっとだけネタバレ有りの感想

丹波が得意とする「双」の文字力で泣けた!
不破十蔵 薄皮太夫 あたりは子供向けの制限を取ったらどこまで行っちゃうやら、茉子との絡みももっと見たかった。
「ワリイなぁ俺たちはセッカチなんでヨ」の源ちゃんの構えめちゃカッコいい‼️

やっぱり我慢出来ないのでネタバレ全開の話
丹波の「双」は言うまでもなく影武者をしつらえる彼の役目そのものなんだよね。薫姫が(おそらく)分かっていながら「丹波のせいでこの有様だ」なんて言うのは二人とも不憫で泣ける
姫を守ることこそ使命として人に笑われようと蔑まれようと姫ファーストの丹波がついに、侍達を信じて(丸投げではなく、自分のできることを基に)運命を託そうとするシーンで泣ける
その力「双」を秘伝ディスクの形で具現化したのが大斬刀の二刀流(ここで出てきた双振目[ふたふりめ]は影、偽物ではなくもはや本物というところでしょう)でそれを力尽くで振り回す殿の覚悟の馬鹿力(策ならある、力尽くだ!を有言実行)にまた泣ける
※これの前に薫姫は大斬刀を扱う際に蹴りまで使って操り、姫のテクニックと共に大斬刀の重さ大きさを演出している作品構成も憎いね!
そしてそこに至るまでの文字力「縛」の「、」を源ちゃんの寿司チェンジャーのキーボード故の入力の遅さをカバーする役割分担、というか作戦の巧妙さと皆の連携に笑い泣ける
最後の一太刀を水のシンケンブルーが火属性のディスクを使うなんて意表をつかれる作戦だがシンケンジャーで一番の太刀筋を持つ流ノ介が最後を決めるというのは納得度が高くて感動する
(鬼滅で言う所の水の呼吸で火の神神楽をやってる)
この一連の攻撃は、殿の一撃を家臣を盾に挑んで敗れた先の戦いを下敷き囮にしつつ、今持てる全ての戦力リソースを冷静に判断し的確に役割分担した大胆で賢い作戦で、単純な力尽くでは無いのが素晴らしいのです。「立てるよなあ」って序盤(2話)と同じ問いかけに「当然でしょ」って立ち上がれる様になる!最初の試練から幾多の戦いを経てここまで来たのです。

最終回の素面での名乗りシーンは、源ちゃんをはじめ侍の面々、役者さん達の1年分の成長の集大成的で殺陣、立ち回りがキマッテいて本当にカッコイイ!皆んないい顔してる!

見どころだらけなのでここまで読んだ方は是非2周ご覧ください。

MUCは有名ですからねえ、だが日本じゃあ2番だって言える作品!