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華麗なる一族のruublueのネタバレレビュー・内容・結末

華麗なる一族(2007年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

華麗なる一族
視聴 2007年

【思い出し記録】2020年4月視聴の「七つの会議」で北大路欣也氏のいささかも衰えぬ眼光から思い出された「華麗なる一族」をここで記しておきたいと思います。

思えば2007年放映のドラマでした。
当時、このドラマの為に一目散に帰宅しご飯とお風呂、観る支度万全で臨んだ事が思い出されます。“次はどうなる?”次週迄待つ時間の何とも言えないもどかしさ。そしてドラマ終了後の胸に穴が空いた様なロス状態。連続ドラマの持つ、“待つ切なさ”を教えてもらった作品です。放映後13年経ちましたが、テレビドラマの中で鮮烈に記憶に留まる作品と思っています。


全てを失った戦後の混乱期から昭和初期に至るまでの日本再生の黎明期を下支えした鉄鋼産業。人々の希望とも言える巨大な溶鉱炉は「一生懸命働けば明るい未来が訪れる」右肩上がりを信じる時代の象徴とも言えるものでした。日本経済を復興するために、溶鉱炉は留まる事なく全てを飲み込み続けて行く。炎は燃え続ける代償として、かけがえの無い一人の命を飲み込もうとするのでした。


財閥の御曹司、万俵鉄平を木村拓哉氏が熱演されています。巨大財閥企業の継承者としての軋轢が彼に襲いかかります。しかし彼を苦しめたのは、むしろ閉ざされた自身の出生の秘密。父、万俵大介(北大路欣也)はある事情から長男である鉄平の出生に疑念を抱き、快く思わない状況が続いていた。

出生の秘密を明らかにする事は明日を失う事を意味していました。一筋縄で行かない父と子の葛藤は若く純粋な鉄平に深くのし掛かり、安らげる場所は無かった。苦悩に絡みとられる息子役を本気で演じる木村氏の演技は感動でした。辛口な社会ドラマです。


多くのテーマを含んだこのドラマですが視聴の時点で理解出来なくとも何年か後にその物語を貫くものが突然腑に落ちる事があります。その映画と離れている何年かの間に計り知れなかった物事との折り合い方を僅かでも会得しているからだろうと思いたいものです。もう一度見直してみたくなったドラマです。


※ 今、絶賛視聴中の「麒麟がくる」このドラマにも描かれる父、斎藤道三と息子、高政の葛藤劇に人気が集まり、Star Warsでのベイダー卿とルーク。相容れない父子の愛は普遍のテーマだからこそ胸を打つのでしょう。

※ 2021年に中井貴一さんが父親、大介役でこのドラマが放送されるようです。息子は誰が演じるのでしょうか。今から楽しみに待ちたいドラマです。
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