これまた、最高のドラマ。
企業買収を舞台に繰り広げられる、クールだけど、ものすごく熱い人間ドラマ。
このNHK版が製作されたのは10年以上前だから、今の社会情勢と違うところもあるんだけど、
"腐ったこの国を、買い叩く"
のキャッチコピーのように、現代日本にメスを入れている作品。
私は経済に詳しくないけれど、今でもさして変わってないんだろうな。
大人の言うさ、あの頃は良かった。
に対して、もうあの頃とは違うんだよ。を突きつけているんだろうね。
主人公は「ハゲタカ」と言われる外資系ファンドの日本支社長・鷲津。
そして、銀行員として優秀な成績を収めてきた芝野。
全く違う二人だからこその、
敵対、怒り、信頼、尊敬のような友情とは言えない関係性が良いんですよね。
鷲津は主人公だけど、何を考えているのかよく分からない不気味さやミステリアスさがあって、だからこそ惹かれてしまう魅力的な役柄。
これは大森南朋完璧。当時さほど有名ではない彼を主役にキャスティングした大友啓史プロデューサーに拍手。
一方の芝野は、真面目すぎるほど真面目な男で、だからこそ理想と現実の乖離に苦悩している役柄。
体を壊して休養中だった柴田恭兵を、撮影延期させてまで待ったほどだし、こちらもかっこいいんですよね。
芝野が他の行員と飲み屋で話してるシーンのさ
「これが俺の仕事だ!なんて胸張って言えるやつなんてどこにいるんだよ。
みんな嫌な仕事押し付けられながらも、夜のビールで流し込んでるんだ。」
みたいな部分もさ、一つの現実なわけよ。
外資の自由さもいいけれど、会社に忠誠を誓い、世の中の黒さを知った中で自分も生きるしかなくなったサラリーマンも、対比として良いんですよね。
金融業界の話とか難しそうって思うけど、めちゃめちゃに熱くて、かっこよくて、惚れ惚れする。
台詞良すぎて、全部覚えたくなるしな。
二人はもちろん、松田龍平、栗山千明、大杉漣、松重豊、宇崎竜童、中尾彬…などなどあげたらきりがない神キャスト達。
製作の大友啓史(『るろうに剣心』『龍馬伝』)
脚本の林宏司(『医龍』『BOSS』)
そして、キャスト、主題歌、挿入歌。
全てにおいて、完璧な作品でしたね。