随分前に観て以来、久々の視聴。断片的にしか覚えてなかったので新鮮に楽しんだ。
今となってはタイトルの「結婚できない」が余計なお世話って感じだが(まあ2006年の作品なのでね)、ドラマとしては今観ても傑作。偏屈で人を寄せ付けなかった男が周囲との関わりの中で少しずつ変化していく過程をコメディ仕立てで描く秀逸な人間ドラマだ(恋愛ドラマではない)。
桑野は皮肉屋で余計な一言ばかり言うし、言葉の選び方もヘタクソ過ぎるし、変な拘りが強すぎるわ、一方的にベラベラ喋るわでコミュニケーションの悪い例を集めたみたいな人だけど、どうにも愛嬌たっぷりで好きにならずにいられないのは阿部寛の力か。
回を増すごとに、より彼のひねくれぶりがツボにハマり、分かりにくく不器用な優しさに心掴まれていく。
桑野と喧嘩ばかりだけどちょっと抜けてるところが可愛らしい早坂先生(夏川結衣)、結構失礼だけどちゃっかり者ぷりが憎めないお隣さん(国仲涼子)などなど、脇役も魅力的。犬のケンも名演技。
ガシガシお互いのプライベートに立ち入る物語なんだけど、持ちつ持たれつ、遠慮なしで言いたいことぶつけあう関係性は対等で健全な印象。
周囲が桑野の変人ぷりをいじりながらも存在はちゃんと許容されていて、愛も感じる。ある種人間関係の理想郷かも。基本コメディながら、最終回で桑野の内面的成長が見えた時は感動的だった。
一人で食事してる姿観られてやたらウワーと言われるなど、もはや一昔前のような表現も多いけれど(頻繁にレンタルDVD店が出てくるのも何やら懐かしい)、【煩わしいけど彩りでもある】人間関係の素敵なところが沢山感じられる視聴時間だった。
