傘籤

メディア王〜華麗なる⼀族〜 シーズン2の傘籤のレビュー・感想・評価

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ケンダルですね。ケンダル愛。あらゆる意味でケンダルが今シーズンのMVPでした。彼の父親に対する忠誠と愛憎、それでもなお突き進むことを決めた「覚悟」こそがこのシーズンにおける一番の見所であり、最終話において最大限の効力を発揮しています。そもそもシーズン1ですっかり戦意喪失してしまったケンダルがどのようなポジションにくるのか、そしてそれが物語にどう作用してくるのかがずっと気になっていたんですが、まさかこう来るとはねえ…。彼のしょんぼりした表情は要チェックです。がんばれケンダル!負けるなケンダル!でも”粉”を愛用するのは止めといた方が身のためだぞ!

普通の”金持ち”という段階を超えた、”超大富豪”の生活と企業経営、家族間のいざこざを描いた人気ドラマのシーズン2。今回も金にものをいわせて問題を解決しようとする場面が多く、セレブたちの生活を覗き見してる感覚が楽しいです。自家用ジェットでの移動は当たり前ですし、多少経営で躓きがあってもだいだい金でどうにかなります。というかどうにかしてしまいます。うーん、クズ。でもそれが良い。見ていて新鮮。そして下品な台詞が多いですねえこのドラマ笑。だいたいみんな口を開けばブラックジョークと下ネタで会話してます。特にローマンは色んな意味でやばい。いや、というか父親も「ナニ」がどうのこうのと、家族内で言うか普通?ってレベルの発言をたくさんしてますし、そういう家系ってことなんですかね。てか字幕ではだいぶマイルドになってる気もしたので、実際にはもっときつめなジョークを言ってる気もするなあ。

登場人物はみーんなキャラ立ちまくりで、回を重ねるたびにどんどん面白くなっていってます。後継者候補ともなったシヴは出番が増えてシーズン1より存在感がアップ。でもレアが言うように自信過剰なんだよなあシヴは。頭は切れるし、行動力もあるんだけど。トムへの愛がありそうで無い、無さそうであるあたり父親に一番似てるのはやっぱりシヴかなあとも思ったり。
ローマンは最初、軽薄なやつだなあ~と思ってたけど、話が進むほど好きになってきてます。でも日本のロケット打ち上げ失敗はちゃんと反省せいよ。あとジェリーとの関係も気になるなあ。いやつうか何あの関係性。すごいなおい。いまんとこローマンが一番気になってます私、推しになりそう。
グレッグは食わせ者ですねー。彼の発言や動向を見てるのは楽しいです。あと、トムみたいなポンコツは必要だよなあと。
そしてローガン。とんでもない人物のように見えますが(てか実際とんでもない人ですが)、会話の端々から彼の人生が垣間見えてきますし、子どもたちを駒のひとつのように扱っていたり、でもちゃんと愛しているようにも見えたりと複雑な性格や人間性が感じられ相変わらず存在感があります。っていうかシーズン1では多少惚けの兆しがあったはずですが、シーズン2では全くその兆候を見せず。まあ惚けてる暇なんてないくらい色んな出来事に追われてましたもんね~。
やー、でもやっぱりケンダルだなあ今シーズンは。父親から認められたいという気持ちや、やってしまったことの後悔、それでも残る反発心と、彼が本来持ってる優しさ。もう、もう……彼に心を掴まれっぱなしでした。冷徹さを身につけた彼はどう動くのでしょう。あとそれを見つめるローガンが少しだけ嬉しそうにしていた表情も素晴らしかった。
そんなわけで脇役も含めてみんなキャラ立ちまくりの本作。イノシシゲームをしたり、ケンダルのラップが披露されたり、クルーズ船の醜聞があって、その公聴会の前に豪華客船に乗ってるところとかもうブラックユーモア満載で、やってんなーって感じです。家族間の「駆け引き」や、「権力」に対するそれぞれの指向、思惑が作り出す脚本が面白くて止め所がわからないまま一気に観終わりました。

そしてこれは子どもたちの承認欲求についての話なんだろうなあと。子供たちがその気持ちにどう折り合いを付けるのか。またローガンがいかに子供たちと、そして自分自身と向き合うのか。家族の愛憎劇は果たしてどこまで行ってしまうのか。そこを注視して次シーズンも楽しもうと思います。
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