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メディア王~華麗なる一族~ シーズン3の傘籤のレビュー・感想・評価

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世界的巨大メディア企業を経営するローガン・ロイとその一族。シーズン2で衝撃的な終わり方をして、今回は事態がどう動いていくのかな、とワクワクして見ておりました。全9話のうち前半はローガンVSケンダルの構図になってますが、次第にケンダルは息切れしていき戦いの場から身を引きます。一方ローマンやシヴもそれぞれ思惑を持って動いており、誰が誰の敵で、どう絡んでいくのか。裏切り、共謀、蹴落としと、様々な策略がうごめいています。後半からはGoJoというIT企業が話に絡み、状況がさらに変わっていくのでずっと飽きずに観てられました。練りに練られた脚本と、俳優たちの熱演、スリリングな心理劇と、人間の滑稽さを痛烈に描いたブラックコメディ。風刺として見てもいいと思いますし、家族ドラマとして見てもすんごく面白い。企業経営や政界とのつながり、メディアの横暴、白人特権階級の傲慢さといったことを描いてはいますが、何より人間ドラマとしての出来の良さが際立っており、だからこそ多くの人にとって楽しめる作品になっているのでしょう。
相変わらず卑猥で下品なジョークが連発されますし、登場人物たちはみんな私利私欲のために行動しますが、シーズン3まで来るとなんだかみんなに愛着が湧いてきます。傍若無人で人でなしに見えるローガンですが、いまだに内面のすべてはさらけ出しておらず、見る人によって様々な人物に見えるのは脚本の巧さと俳優の素晴らしい演技が見事に合致しているためでしょう。
セックス、ドラッグ、殺人といった刺激的な要素も無いわけではないですが、そういったものを一要素に過ぎないレベルに留めて、ビジネスをメインにこれほどスリリングなドラマを作れるのは凄すぎます。ケンダルは「親父が持ってる何かが自分には足りない」みたいなことを言ってしょぼくれてましたが、私からしたらむしろ逆で、ケンダルはローガンにはない「弱さ」があり、人としてまともでありたいと考え、正しさを重視しすぎるがゆえに父親のようには出来なかっただけだと思います。大丈夫ケンダル、私は好きだよ君のこと!あとコナーは見ててほんと癒やされます。お幸せに。
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