サンタフェ

メディア王~華麗なる一族~のサンタフェのレビュー・感想・評価

メディア王~華麗なる一族~(2018年製作のドラマ)
4.8
HBO名作を観ようの旅①

文句なしに面白い!重厚な脚本、映画的な普遍性のある映像、イカれたキャラクターとバランスの良い作品でした。

映像について。近年はNetflixとAppleTV+の作品を中心に観てきたため、HBOがどういう映像なのかというのは一つ観る楽しみでした。

2018年作というのも踏まえ、本作はかなりクラシックよりだなと感じました。NetflixやAppleTV+のようなフォーカスを効かせたカラフルな映像というよりは名作映画のような色合いとピント具合で普遍性を感じる映像です。また人物が喋っている間にカクっとズームしたり手ブレ感が観られるなど密着ドキュメンタリー風の技法が観られました。ロイ家が実際に働いているところにカメラを回しているような臨場感が最高でした。

脚本について。本作は海外ドラマでは主流となった性格が悪い登場人物たちが仁義なき刺し合いを行なうスタイルですが、主人公のケンダルと甥のグレッグの立ち位置が面白いですね。

序盤で特にローガンやシヴを中心に各キャラが自身の権利の把握に長けている”抜け目ない”世界観であることが視聴者に伝わりますが、その中で主人公ケンダルは”わかっていない”お坊っちゃん役。凡人であるケンダルの視点で物語が展開することである種の安心感と愛らしさを感じられました。そして実際にうまくいかないところが最高。

グレッグは可愛い顔をして意外と抜け目ないキャラクターですが、新参者ゆえ業界の常識は全くわからないわけで、こちらもよい感じに視聴者の視点を担ってくれていました。

物語の展開は重くアクションなどは全くない作品ですが軽妙なテンポと差し込まれるブラックユーモアによってストレスなく観られる構成は見事です。噂に違わぬ名作でした。
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