やるせない。
ヴァランダーを観ると、この言葉が心に染み入る。
初めてのヴァランダーの柔らかい笑顔が印象的。
新居での、「家族」との新生活。
その新生活に刺す影。
「表面の肉体は剥ぎ取れるが
骨にたどり着くまで
時間がかかるし
破片が残る」
新しい生活で、変わろうと努力するが、ままならない。
この仕事をしている限りは。
今シーズンでは、スウェーデンからバルト海を挟んだ国、e1ポーランド、e2ラトビア、が絡んでくる。
マーティンソン役のトム・ヒドルストンは今シーズンは登場しない。
シーズンが変わっても、電話の着信音は変わらない。
このシリーズを観て、痛感するのが、「普通の人」を演じるのが一番難しいということ。
エキセントリックな役は、分かりやすく、やりやすい。
「普通」は、少しでも「過剰」になると嘘くさくなる。その上で「普通の人」の心の揺らぎを表現する。
これほど言葉を尽くして言葉を紡ぎたいと思うドラマはそうない。
それが自分に向かって再認識する為か、
見知らぬ人に向かって伝えたいのか、自分でも分からない。
ただ語りたいという衝動が湧き上がる。
それが宇宙に向かってボイジャーを飛ばすようなものでも。
語らずにはいられない。