瑞鶴

白い巨塔の瑞鶴のレビュー・感想・評価

白い巨塔(2003年製作のドラマ)
5.0
BS11で再放送をしていたのを期に再視聴。

俗に言う、唐沢寿明版『白い巨塔』は、2003年10月9日から2004年3月18日まで、毎週木曜日22:00 - 22:54にフジテレビ系「木曜劇場」枠で放送された日本における伝説級のテレビドラマだ。
山崎豊子の同名小説を原作としており、医学界の知られざる実態と人間の生命の尊厳を描いている。

主演は唐沢寿明と江口洋介。全21回(第一部全10回、第二部全11回)で、軒並み20%を超える高視聴率を記録し、最終回の視聴率は多くの地域で30%を超えるなど反響を呼んだドラマだった。

以下、ネタバレもろあります。














最終回の「ただ、無念だ。」は有名だ。
テンポ良く、各役者の配役から演技と絶妙。音楽も雰囲気をより盛り上げてくれる。脚本も実に良い。
最終回、財前(唐沢寿明)の死に至る病で弱っていき最後は意識朦朧としていく演技は感極まる事だろう。

▼財前から里見への最後のセリフ
決心してくれたのか。
やっと…、ガンセンターの内科部長を引き受けてくれるんだな。
これで、僕のガンセンターも磐石だ。
佐々木さん、あなたもガンセンターへ入院されたら、
ベッドは空けますよ。
ええ、僕はセンター長ですからね。

里見、ひと言ぐらい祝いの言葉を…
転移ではない……
僕しかいないんだ…
世界を…
代わりの人間が…
ふたりで、ふたりで…、里見…

▼財前から里見にあてた手紙
里見、この手紙をもって、僕の医師としての最後の仕事とする。
まず、僕の病態を解明するために、大河内教授に病理解剖をお願いしたい。
いかに、がん治療についての愚見を述べる。
がんの根治を考える際、第一選択はあくまで手術であるという考えは
今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであり、発見した時点で
転移やはしをきたした進行症例がしばしば診うけられる。
その場合には、抗がん剤を含む全身治療が必要となるが、
残念ながら、いまだ満足のいく成果にはいたっていない。
これからのがん治療の飛躍は、手術以外の治療法の発展にかかっている。
僕は、君がその一役を担える数少ない医師であると信じている。
能力を持ったものには、それを正しく行使する責務が
君にはがん治療の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、がんによる死が、この世から無くなることを信じている。
ひいては、僕の屍を病理解剖の後、君の研究材料の一石として役立ててほしい。

「屍は生けるしなり。」

なお、自らがん治療の第一線にある者が早期発見できず、手術不能のがんで死す事を
心より恥じる。


久々に全話を観た後の感想だが、医療の世界を通して、人の表と裏が見え隠れしていて染みる。
財前五郎は良くある野心のある外科医かと思う。
現実の世界で自分の将来を犠牲にしてまで正義を通す里見のような医師は患者にとっては都合が良いが、あまりに不器用すぎるし現実的ではない。

日本のドラマで本作に並ぶ作品はあっても、超える作品は今も昔も無いのではなかろうかというレベルで最高点。
実に良いところで「アメージンググレース」が流れる。

HDリマスター化してもっとオンデマンド配信して欲しいところ。
瑞鶴

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